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「ねこねこネットワーク」略してNNNと呼ばれる猫による秘密結社を知っている人はいるだろうか。例えば猫を飼いたいと思っている人に猫を派遣するなど、猫と人が幸せに暮らせる世の中を作ることを目的に活動しているという都市伝説というかネタだ。猫との出会いが多いという人も、NNNにマークされているかもしれない。
投稿を寄せた40代女性(京都府)は、自覚はなさそうだが、その一人のようだ。
「猫を飼っていると、なぜか他の猫も家に寄り付きやすくなりますよね」
と不思議そうに語り出し、ある子猫との出会いを振り返った。(文:天音琴葉)
食べ終えて「出ていくのかな?」と思っていたら、押入れの中にINした子猫
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ある日の朝、出勤の支度をしつつキッチンを通りがかったら、なぜか飼い猫のモカが入口付近で固まっていた。そして自分のエサ皿のある勝手口の方向を凝視していた。
「不思議に思ってキッチンを覗くと、小さな白い子猫がガツガツとモカのエサを食べていました。時折こちらを見てシャーッと威嚇しながら」
どうやら勝手口の扉が開いており、お腹をすかせた野良の子猫が入ってきたようだ。一方でモカは、自分のごはんを食べている子猫を見て衝撃を受けたに違いない。
子猫はある程度、食べ終えて満足したようだ。「出ていくのかな?」と思っていた。ところが
「なんと家の中に逃げ込んできて、これまた開いていた押入れの中にIN。押入れにはあれこれ物が詰まっていたので、すぐには探せず、そうこうしているうちに、家を出ないといけない時間になり……」
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どうやら子猫は家が気に入ったようだ。仕方なくそのまま鍵をかけて出勤した。
「もし家族の誰かが先に帰宅した折に逃げるかもしれない。でもそのまま家にいるかもしれない。私の帰宅まで家にいたならもういっそ飼ってしまおう」
と考えながら仕事したというが、気が気でなかっただろう。帰宅すると子猫はまだ家の中にいた。相変わらず怯えていたが、子猫をこのまま家に置くことに決めた。
家出し、痩せて帰ってきたモカに「私はモカが大好きだもん」話しかけたら……
子猫のためにあれこれと世話を焼いていたら、離れたところからジッと見つめてくるモカの視線を感じた。翌朝、モカは姿を消していた。
「庭に出たり好きに過ごしていたので、あまり気にはしませんでしたが、エサも減らないまま、夜仕事から帰宅しても現れず。どうしたんだろうと気がかりのまま就寝。翌日もその次の日も、モカの姿がなく、さすがに心配してどうしようかと考え始めました。きっと、他の猫が来たから驚いて逃げてしまったのだと思います」
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モカの気持ちを考えず、子猫を迎え入れたことを後悔していた時、ようやくモカが帰ってきた。だがエサも食べずに外にいたようだ。痩せて汚れた姿だった。そんなモカがジッと見つめてきたので、モカの目を見つめながら、
「おかえり。心配してたんだよ。なんでいなくなったの? この子(子猫)がいるから?」
と話しかけてみた。そう言えば迎え入れた時のモカも、この子猫と同じくらいの大きさだった。「この子にはおうちがないんだよ。このままだとこの子は弱って死んでしまうよ」と理解を求めた。その一方で、モカが最優先であることも伝えた。
「モカがどうしても無理って言うなら、この子をもらってくれるところを探すよ。モカが嫌がることはしたくない。私はモカが大好きだもん」
モカにありったけの想いを伝えたものの、「そんな都合よく伝わる訳ないか」と思いつつ見守っていた。だがこの後、驚きの光景を目にしたのだった。
「子猫が近付こうものなら一目散に逃げていたモカが、自分から子猫に恐る恐る近付いているではありませんか。伝わった!? とびっくりしました。そこからは猫同士の距離が徐々に縮まり、モカは逃げなくなりました」
こうしてモカにも受け入れられた子猫だが「病気持ち」だった。具合が悪そうな時は、モカが心配そうに周りをグルグルと歩きながら鳴いて教えてくれた。
「ちょっかいを出されても反応せず、本当にお兄ちゃんのように、子猫を気にかけつつ過ごしている姿が見られるようになりました。猫を飼っていて、もしかして人の気持ちがちゃんとわかってるんじゃないかな、と感じる場面は多々ありますが、はっきり『伝わった!』と感じた出来事でした」
今回は突然のことで難しかったと思うが、先住猫がいる家に新しい猫を迎え入れる場合、最初は部屋を分けるほうがいい。先住猫の様子を見て、少しずつ新入り猫に会わせていけば慣れてくれるだろう。モカと子猫の微笑ましい日常が、どうか末長く続きますように……
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