母国料理で「関心持って」=戦地に残る父への思い胸に―ウクライナ出身のヤボルスカさん・滋賀

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2025年02月22日 14:01  時事通信社

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ウクライナ料理店「The Faina」の前に立つカテリーナ・ヤボルスカさん(左から)、イリーナさん、菊地崇さん=15日、滋賀県彦根市
 ロシアの軍事侵攻から間もなく3年となる中、ウクライナに残る父への思いを胸に、母国料理の店をオープンした女性がいる。「関心を持ってもらえるきっかけに」。滋賀県彦根市のカテリーナ・ヤボルスカさん(34)は、一日も早い平和を願うとともに、日本の支援継続を訴えている。

 2022年2月に軍事侵攻が始まった翌月、ヤボルスカさんと夫の菊地崇さん(31)は、ウクライナ北東部ハリコフ州に住んでいた母イリーナさん(53)と祖母(83)を呼び寄せた。ただ父ローマンさん(57)は、戦時下で男性の出国が制限されたため残留を余儀なくされた。

 ヤボルスカさんは、5月にはキッチンカーでの母国料理の販売事業を開始。母らの働き口を確保するとともに、日本で母国の文化に関心を持ってもらうことで支援につなげようと活動を続けた。

 昨年1月の能登半島地震発生後、建物が倒壊している被災地の状況を映像で見て「故郷の現状と重なった」というヤボルスカさん。「日本がウクライナを支援してくれたように力になりたい」と、キッチンカーで石川県珠洲市役所へ向かい、ボルシチ500食を無償で提供したこともあった。

 連日のように鳴り響く警報に加え、インフラ施設の破壊で冬には暖房器具が使えない状況が続く母国。電話で連絡は取っているものの、再会を果たせるまで父に「希望を持ち続けてほしい」と、ヤボルスカさんはレストランの開店を計画した。クラウドファンディングの寄付なども受け、23年5月に「The Faina」をオープン。調理は母が担当し、料理人の経験のある父が考案したメニューや、内装のアイデアなどを反映させた。

 さらに母国と日本企業の経済交流を支援するため昨年12月には、在日ウクライナ商工会議所(UCCJ)を立ち上げ、理事長に就任したヤボルスカさん。事務局長に就いた夫の菊地さんも「復興の道筋を日本からつくっていきたい」と意気込む。

 「祖国に平和が戻ることを強く願っている。両国をつなぐ懸け橋になりたい」。ヤボルスカさんは力を込めた。 

能登半島地震の被災者支援でボルシチを振る舞うヤボルスカさん=2024年2月、石川県珠洲市(菊地崇さん提供)
能登半島地震の被災者支援でボルシチを振る舞うヤボルスカさん=2024年2月、石川県珠洲市(菊地崇さん提供)

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