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「2008年のリーマンショックで、株式資産を4割程消失しました。何か大きな変動を予兆としてつかむ情報源には何がいいのか、また何に気を付けるべきか等ご教授いただけるとありがたいのですが」(60代)
大変な苦労をされましたね。2008年9月のリーマンショック当時、筆者は受験勉強中の高校生で、自分のことしか考えていなかったので、経済がそんな状況だったとは知りませんでした。
とはいえ、リーマンの傷跡は深く、筆者が就活をしている時期は「氷河期」で、給料の安い会社でさえ内定をもらうのが大変でした。
金融危機や恐慌。これらに巻き込まれると大きく損をします。損をゼロにするのは難しいでしょうが、せめてダメージを軽減したいものです。本記事では不況のダメージを軽減する方法を考えていきます。
リーマンショック、3つの教訓
リーマン危機に関する筆者の認識は、以下のとおりです。
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・人々は、バブル水準の不動産を借金して買ってしまった
・サブプライムローン(信用度の低い借り手向けのローン)が証券化されたこともあってか、信用力の低い人でも借金できてしまった
まず、アメリカの不動産価格はバブル水準でした。
日本でもマンション価格が高騰していて話題になっていますが、似たようなことが起きていたわけです。
筆者はよくバブルの目安として「国債金利と、流行っている投資商品の利回り」を比べます。国債金利はいわば「無リスク金利」とも呼ばれ、実質ノーリスクで得られるリターンです。
リーマン危機が起きる前、アメリカのREIT(不動産投資信託)の利回りは国債利回りを下回っていました。つまり、「リスクをとって不動産を買うくらいなら、リスクのない国債を買う方が儲かる」という異常な状況でした(リスクをとるうまみなどありませんでした)。
全てのバブルは弾けますから、これは危険なサインの1つ目です。
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自分の預金の範囲で買っていればまだよかったのですが借金していたので、「貸し倒れ」により銀行の信用問題につながるリスクが増しました。
「バブルにレバレッジがかかった」というのが、危険なサインの2つ目です。
最後。アメリカではサブプライムローンが流行りました。
これは、信用度の低い借り手向けのローンで、住宅版の消費者金融みたいなものです。
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「返せない人にお金を貸したことで、レバレッジがさらに高まった」というのが、危険なサインの3つ目です。
リーマンショックの教訓から学べること
リーマン危機の教訓をまとめると、・不動産バブルだった
・バブルなのに借金した
・返せない人にお金を貸した
という3点、これらが全て「組み合わさった」ことで、リスクが増幅したのだと筆者は認識しています。
ここで、質問に戻ります。
「何か大きな変動を予兆としてつかむ情報源には何がいいのか、また何に気を付けるべきか等ご教授いただけるとありがたいのですが」
リーマンショックは2008年からはじまった経済危機ですが、サブプライムローンについてはそれ以前の2007年から問題視されていました。新聞やニュースを見ていれば存在は知っていたかと思います。
大事なのは「知る」こと以上に「危うさに気付く」ことで、この手の「レバレッジが増大する」話は、危険なのだと知っておくのが1つかと思います。
「うさんくさい金融商品がある」と気づいていれば、少なくとも、直接的に関与していそうな金融機関への投資はせずに済んだでしょう。
一方、米国の不動産バブルについては、Googleで2008年以前のニュースを検索してみましたが、日本での報道はあまりなかったようです。あるいは、あったけれどネット上にないだけなのかもしれませんが……。
日本の不動産バブルもそうですが、不動産は「借金して買うもの」という性質上、バブルが弾けると影響が甚大です。だからこそ、巨大な国の不動産の価格には敏感になるべきなのかもしれません(今は中国の不動産不況が大変なことになっており、中国の内需も下火になっていますね)。
筆者としては「価値のないものを評価する人が増え、巨額のお金が動いている」時が危険だと思います。
足元では日本のマンション価格が(相続対策ブームで)高騰していることや、ビットコインが高騰していることに危機意識があります。これらに「近そうな」投資先からは、手を引いています。
文:中原 良太(個人投資家・トレーダー)
18歳に株を始め、25歳でYahoo!株価予想達人で「ベストパフォーマー賞」を受賞。主に株式投資とマネー(お金)についての情報をSNSやYouTube、メルマガなどで発信。IQ上位2%のMENSA会員。
(文:中原 良太(個人投資家・トレーダー))