<バスケットボールBリーグ1部(B1):宇都宮81−64北海道>◇1日◇第22節◇ブレックスアリーナ宇都宮
宇都宮ブレックスが、急死したケビン・ブラスウェルヘッドコーチ(HC)に、追悼の白星をささげた。
試合開始から気持ちがこもっていた。レバンガ北海道の小野寺HCが「宇都宮さんは最初のポゼッションから、絶対に負けられないという気持ちを出してきた」というほど。時折、得点が停滞することもあったが、終始主導権を握り、北海道を圧倒した。
2月24日の夜だった。リーグ戦中断明けに備え、チーム内で紅白戦を行った数時間後。ブラスウェルHCの訃報が伝わった。選手、コーチ、スタッフらは宇都宮市内の病院に駆けつけ、信じたくない事実を突きつけられた。
「順調に回復していると聞いていたので心の準備ができていなかった。信じられなかったし、いまだに受け入れられていない」
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エースの比江島慎が言うように、チームが受けたショックは計り知れない。
ジーコ・コロネルHC代行は翌25日をオフにして、選手たちと一緒に葬儀に参加。26日も練習はせず、ミーティングだけ行ったという。
「気持ち的にまだバスケに向き合う状態でなかったし、そういう時はケガのリスクもあるから」
ミーティングでは、全員でコートに1つの輪をつくり、同HC代行は選手たちにこう語りかけた。
「つらい時こそ、人と人がつながりあって助け合うことが一番重要。ここには素晴らしい人間が集まっている。みんなで手を取り合って、乗り越えていこう」
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まさにブラスウェルHCが言い続け、チームに植え付けようとしてきた姿勢。大きな存在を失ったことで、選手やスタッフはさらにその思いを強くした。
もちろん、簡単に気持ちを切り替えられるものではない。ブレックスに来る前から同HCと親しかったD.J・ニュービルは「まだ消化し切れていない。彼について語ることは控えさせてください」と話した。試合前に行った黙とうでは、遠藤祐亮やアイザック・フォトゥらが涙を流していた。
しかし、戦いが続く以上、前を向くしかない。何よりブラスウェルHCが、ネガティブで湿っぽい雰囲気とは無縁だった。比江島が言う。
「ケビンは明るい性格で僕たちを常に前向きにさせてくれた。僕自身、34歳になっても進化できているのはケビンに出会えたから。アップテンポで、何よりバスケを楽しむこのスタイルで必ず優勝する。ケビンに誓いました」
心の中には笑みをたたえた指揮官がいる。ブレックスは最後まで、ブラスウェルHCと戦っていく。【沢田啓太郎】
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