永里優季(撮影は2011年の女子W杯) [写真]=Getty Images
NWSL(ナショナル・ウィメンズ・サッカーリーグ)のヒューストン・ダッシュは3日、同クラブに所属する元なでしこジャパン(日本女子代表)FW永里優季が、現役を引退することを発表した。
永里は1987年7月15日生まれの現在37歳。2002年に当時のL・リーグデビューを飾ると、以降は日テレ・ベレーザ(※現:日テレ・東京ヴェルディベレーザ)で不動のストライカーとして活躍。2度にわたってなでしこリーグのベストイレブンに輝いただけでなく、2006年には得点王とのダブル受賞も果たした。
2010年にドイツのトゥルビネ・ポツダムに移籍し、海外でのキャリアをスタート。同クラブでは日本人史上初となる女子チャンピオンズリーグ優勝に貢献し、2012−13シーズンの女子ブンデスリーガでは18得点を挙げて得点王にも輝いた。
その後はチェルシー、ヴォルフスブルク、フランクフルトと欧州の強豪クラブを渡り歩き、2017年にはNWSLのシカゴ・レッドスターズに加入。2018−19シーズンはオーストラリアのブリスベン・ロアーでプレー。2020年には当時神奈川県リーグ2部に身を置いていたはやぶさイレブン(現:厚木はやぶさFC)にレンタル移籍し、“歴史的”な男子チームへの加入も経験。2021年からは再びアメリカに戻り、レーシング・ルイビル、シカゴ・レッドスターズ、そしてヒューストン・ダッシュに所属。2024シーズンはヒューストン・ダッシュでNWSL21試合出場2得点を記録していた。
また、2004年4月には、16歳でなでしこジャパンデビューを飾る。同年に行われたアテネオリンピックの本戦出場は叶わなかったものの、FIFA女子ワールドカップは2007年から3大会連続、オリンピックは2008年から2大会連続で出場。FIFA女子ワールドカップドイツ2011では、なでしこジャパンの大会初優勝に貢献した。なでしこジャパン通算では132試合出場58ゴールを記録した。
永里は自身のオフィシャルサイトを通じて次のようなコメントを発表している。
「ファンの皆さん。いつも応援してくださり、ありがとうございます。この度、プロサッカー選手永里優季としての章を閉じることにしました。何一つとして後悔はありません。最高のサッカー人生でした」
「燃え尽きるまでやり切った。このステージでプレーする気力を完全に使い果たしました。プレーする情熱やエネルギーが尽きたことを自分自身が納得できる形で受け入れることができたし、サッカー人生の中でどんな環境でも戦い続け、挑戦し続けてきた過程で、ようやく自分が求めていたものに辿り着き、もう十分やり切ったとやっと思えることができました」
「私にとって『サッカー選手としての道を終えること』は、単に何かを手放すことではなくて、新しいミッションを見つけたことでもあります。次のステージへ進む覚悟がやっと持てたのかなと、今はとても晴れやかで、スッキリとしています」
「2010年1月にドイツポツダムに渡る時、『成功するまで日本には戻らない』と決意して海を渡ってから15年。振り返らずにとにかく前だけを見つめて走り続けた結果、もうこんなに時が経っていました。何が成功の定義なのかはわからないけど、本当に沢山の人との出会いがあり、経験尽くしたって言い切れるほど頂点から底辺までを経験し、本当に何も思い残すことはないと言い切れるまでやり切ったと感じています」
「挑んで戦っては傷つき、傷ついた数は計り知れず沢山涙を流し、たまに笑って喜んだり。この30年間のサッカー人生は、想像していたよりも濃くて激しくて、一人じゃとても生き抜いてこれなかったなと強く感じています。辛く苦しいことばかりが多く思い出されるし、それなりに楽しく感じるようになったのはキャリアの終盤に差し掛かってからだったけど、それはそれで最高のサッカー人生でした。サッカーやりたくなかったのにこんなに長くサッカーやるとは思っていなかったけど、やっと最後はなりたかったサッカー選手に少しでも近づけたかなという気持ちです」
また、「そして会見とまでいきませんが、選手として最後の想いを伝えるLIVE配信を私のYouTubeチャンネルでやりたいと思います。そんなに堅苦しくするつもりはありません。お時間ある方は、是非こちらに足を運んでいただけると嬉しいです」と明かした。このライブ配信は日本時間3月4日12:00開始予定となっている。