恋愛経験ゼロの37歳女性を「私はモテる」と勘違いさせた“残酷なアプリ”。30〜40代女性が陥りやすい落とし穴とは

こんにちは。これまで1000人以上の男女の相談に乗ってきた、恋愛・婚活コンサルタントの菊乃です。

髪もボサボサで化粧もしない“完全なる非モテ”から脱出した経験を活かし、多くの方々の「もったいない」をご指摘してきました。誰も言ってくれない「恋愛に役立つリアルな情報」をお伝えします。

◆女性はホストクラブを、男性のキャバクラのようには楽しめない

　筆者のところへ婚活相談にいらっしゃる方は女性がほとんどなのですが、女性が婚活をすると「男性と全く会えない」ということはありません。ですが見知らぬ異性に対しては、女性の方が警戒します。気軽に会ってみようとは思いにくいのです。

　キャバクラやガールズバーなど、女性が男性をもてなすお店はたくさんあります。男性は好みはどうあれ女性と会話するだけで楽しいと思える人も多いのに対し、女性は初対面でよく知らない男性と会話することが必ずしもレジャーにはなりません。ホストクラブのような女性向けのお店もあるものの、男性向けのお店ほど多くないのはそんな理由からでしょう。

　男性と会う前に、ヤバイ人じゃないか、社会的にまっとうなのか、厳しく審査してしまうのが女性です。

◆男性を警戒し、不要不急の出会いも避けて、気づけば38歳

　なお、恋愛経験が乏しい女性ほど、警戒心は高い傾向があります。ご相談にいらっしゃった恵理さん（仮名・38歳）は、一度も男性とのお付き合い経験がありませんでした。

　20代の頃に街コンブームがあり友人から誘われたこともあったそうですが、「どんな人が来るか分からないし、楽しめるか微妙」という理由で断ります。

　2020年に新型コロナ感染症が拡大してからは、感染に警戒して不要不急の出会いもしっかり避けて、気が付いたらアラフォーになっていました。

　新型コロナも収束し、恵理さんは昨年、一般的になっていたマッチングアプリに登録します。始める前は「もう37歳だし、どうせ自分がいまから婚活なんてやっても無駄かもしれない」と思っていたそうですが、予想に反してたくさんの男性から「いいね」が来ます。

◆恋愛経験ゼロなのに、“いいね”が3桁来た「単純な理由」

　マッチングアプリでは、女性は女性というだけで数百件の「いいね」がつきます。若い人だけでなく、30代でも40代でもそうなのです。

　男性はアプリの中でなかなかマッチングしないため、やや手あたり次第に女性に「いいね」を送ります。とはいえ、この「いいね」も薄くて軽い好意です。「いいね」を送った男性だって、女性から「いいね」を返してもらってマッチングしても、メッセージのやり取りが始まらないことはざらにあるのです。

　恵理さんは「いいね」が来たことで、自分に興味を持ってくれる男性が大勢いると過剰に自信を持ってしまったそうです。

　男性のプロフィールを見ると、情報が乏しく興味を持てない人や、年上すぎる人、顔がタイプではない人、逆に「本当に？」と疑いたくなるような年収1000万円以上の好条件すぎる男性もいました。その中でまともそうな人を選別し、数人とマッチングします。

◆「他の人とはやりとりしてない」と言われ、誠実だと惹かれる

　その一人が31歳の“YU”という男性でした。年収は400〜600万円の設定で、イケメンでもなくスペックも普通です。

　マッチングした別の男性からは、2〜3日メッセージのやり取りをしてからLINE交換を提案されました。会ったこともない男性に個人情報を渡すのに抵抗があり、恵理さんは嫌だなと感じて断ったそうです。すると「サクラですか？」と失礼なことを言ってきました。

　その点、YUは「本当はLINE交換したいけど、よく知らない相手だし嫌ですよね」と言ってきたそうです。恵理さんはYUに対して誠実だと感じて好感を持ち、メッセージのやり取りが楽しみになりました。

　メッセージの中でも「エリさんとしかやり取りしていない」とも言われため、恵理さんはより誠実だと思って気持ちが傾いていったそうです。

　この話を聞いて筆者は、YUは女慣れしたヤリモクだろうなと感じました。

◆恋愛経験の乏しい女性が誠実と思う男性は、だいたいヤリモク

　マッチングアプリで「あなたとしかやりとりしていない」はウソです。本当に誠実な男性というのは、こんな歯の浮くようなセリフをわざわざ言いません。恋愛経験の乏しい女性が誠実だと感じる男性は、だいたい女慣れした遊び目的の男性なのです。

　会う約束をして日程も決まりましたが、マッチングして1週間程度で徐々にメッセージの間隔があいて返信が来なくなり、約束の数日前に彼のアカウントは「退会したユーザーです」と表示されてしまいました。

　ここで考えられるのは2パターンです。YUが恵理さん以外の女性から通報されて、アプリから強制退会させられた。または、YUが恵理さんをブロックした。いずれにしても、誠実とはほど遠いですよね。

　しかし、恵理さんは「私は何か悪いことをしたかな？」とあれこれ悩んで落ち込みました。新たに人を探す気力もなくなり、しばらくアプリを開かず1年が経ってしまいます。

◆遊び人しか気付けない「女性が嫌がること」

　私は恵理さんに、「YUはおそらくヤリモクだったと思う」とはっきり伝えました。

「でも、イケメンじゃなかったし、ハイスぺでもなかったですよ」
「31歳男性が37歳女性とだけやり取りするなんてことが不自然ですよ」
「やっぱりそうですよね」

　20歳代後半の女性も対象にできる31歳の男性が、37歳女性に「いいね」をして近づいてくる時点で怪しいのです。

　もちろん個人の好みは色々ですし、相手の年齢を気にしない男性もたしかにいます。しかし、職場恋愛や友達の紹介ならいざ知らず、さまざまな女性がいる中で自分より6歳年上というのが見えていて、わざわざ真剣にアプローチする人はあまりいません。年上女性にしか興味がないというのなら話は別ですが。

　何よりYUは、女性の警戒心を解くのが上手なのです。通常、男性は女性ほど警戒しないので、LINEを交換したがります。そして遊び人以外の男性は、女性が連絡先交換を嫌がるところまで考えが至りません。恵理さんが見る目がないといえばそうですが、まず悪いのはもちろんYUなのです。

◆今どきのヤリモクは、性交渉するために「告白する」

　恵理さんには騙されるリスクが高いマッチングアプリより、独身証明書や所得の証明書を提出し、結婚希望がある人しか登録していない結婚相談所の方が向いているとお伝えしました。

　YUとの一件も経験として、前に進んでもらいたいなと思います。

　今どきのヤリモクは分かりやすいハイスぺでもイケメンでもなく、誠実ぶるので要注意です。

　「アプリで彼氏ができたけど数カ月で連絡が途絶えた」ということを繰り返す女性がよくいらっしゃいます。今のヤリモクは、性交渉するために告白するのです。女性からしたら結婚に至らない短期間の恋愛かもしれませんが、男性側はそもそも真面目に恋愛をするつもりがなかったのかもしれません。

※個人が特定されないよう一部脚色してあります。
＜文／菊乃＞

【菊乃】
恋愛・婚活コンサルタント、コラムニスト。29歳まで手抜きと個性を取り違えていたダメ女。低レベルからの女磨き、婚活を綴ったブログが「分かりやすい」と人気になり独立。ご相談にくる方の約4割は一度も交際経験がない女性。著書「あなたの『そこ』がもったいない。」他4冊。Twitter：@koakumamt