「一般人も不倫」発言の岡村隆史、炎上続く根本原因は中居正広にも通ずる“更新しない90年代価値観”

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2025年03月09日 08:10  週刊女性PRIME

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岡村隆史

世の中には「ヤバい女=ヤバ女(ヤバジョ)」だけでなく、「ヤバい男=ヤバ男(ヤバダン)」も存在する。問題は「よいヤバさ」か「悪いヤバさ」か。この連載では、芸能人や有名人の言動を鋭くぶった斬るライターの仁科友里さんが、さまざまなタイプの「ヤバ男」を分析していきます。

第41回 岡村隆史

 違法な賭博であるオンラインカジノを利用したとして、令和ロマン・高比良くるまさんら吉本興業所属の芸人が警視庁から任意の事情聴取を受けたと報じられました。くるまさんの賭博関与は2019年から2020年だそうなので時効が成立していますが、けじめの意味もあるのでしょうか、くるまさんは19日、自身のSNSで、当面の間、活動を自粛すると発表しています。

男性スタッフに飛び蹴りしていた90年代のテレビ

 これを受けて、ナインティナイン・岡村隆史さんが21日深夜放送の『ナインティナインのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)内で「意見いろいろあるじゃないですか、これ休まなあかんのとか。そこまでせなあかんのかという意見もあったりする(後略)」と自粛を疑問視。

「俺、すごい思うねんけど、芸能人じゃない一般人、どれくらいオンラインカジノやってんの? オンラインカジノと不倫。めっちゃくちゃやってると思うで、めっちゃくちゃ。こんだけ芸能人が『リスキーですよ』『不倫したら一発で仕事なくなりますよ』って言うてても有名人すんねん、政治家の人かてやんねん。有名人やから写真撮られてさらされるけど」

 と、まるで「一般人だってやっているのに、芸能人ばかりがさらし者になって不公平だ」と解釈できてしまう発言をしたのでした。言うまでもありませんが、芸能人だからオンラインカジノがアウトなのではなく、芸能人でも一般人でも違法行為はアウトなのです。

 岡村さんが「芸能人にばっかり当たりが強い」と思ってしまうのは、過去の記憶が影響しているのかもしれません。若い方に言うと驚かれるのですが、テレビが「何でもアリ」だった時代がありました。

 ドラマでは若い女優さんが上半身裸をさらしていましたし、フジテレビの女子アナは番組で水着になっていました。男女とも、報道番組にたずさわる大物キャスターが不倫を報じられることはよくありましたが、1週間から1か月程度の謹慎で復帰しています。人気の芸人がイジりという名目で、自分の番組に出演してくれた女性のシロウトさん(一般人)の外見をからかうこともよくありましたし、男性スタッフに飛びげりを食らわせていたこともあります。

 岡村さんが芸能界入りした90年代もこういう傾向はあり、岡村さんはいつのまにか、テレビは男性が主役で、女性は添え物もしくはお色気要員、売れている芸能人は一般人よりも強者であり、ひいては「売れている人は何をしてもいい」という価値観ができあがってしまったのかもしれません。

 1月23日に引退した中居正広さんも90年代に一代地位を築いたスターでしたが、女性とトラブルに発展した背景には、この価値観が影響しているのかもしれません。岡村さんはトラブルこそ起こしていませんが、このような考えから「あんなにがんばって売れたのに、なぜ大目に見てくれないばかりか、どうして足をひっぱるのだ」と、倫理を度外視して、芸能界の論理だけで物を見ているからではないでしょうか。

 岡村さんが「不倫したくらいで自粛する必要はない、おかしい」と発言することは、もちろん本人の自由です。問題は岡村さんがちょっと被害妄想的というか、怒りの矛先を間違えているように見えることなのです。

 岡村さんは、芸能人の自粛は一般人がSNSで騒ぐから、つまり、自分の敵は一般人だと捉えているように感じます。しかし、どうして不倫や不祥事で芸能人が自粛したり、テレビに出られなくなったりするかというと、テレビ局がコンプライアンスを重視するようになったから。

 ですから、もし本気で不倫やオンラインカジノの件で自粛するのはおかしいと思うのなら、テレビ局に直接言えばいいのではないでしょうか。でも、それをしないのが、岡村さんらしさなのかもしれません。なぜなら「強い者には服従」という姿勢は今に始まったことではないからです。

岡村は90年代で時が止まっている

 過去のことを蒸し返してなんですが、どうしても思い出してしまうのが、岡村さんの過去の炎上発言なのでした。2020年4月23日深夜放送の同番組で、岡村さんは新型コロナに感染するのが怖いから風俗に行けないというリスナーからのメールに対し、「コロナが収束したら絶対面白いことがあるんですよ。コロナが明けたらなかなかの可愛い人が、短時間ですけれども美人さんがお嬢やります。これ何でかって言うたら、短時間でお金を稼がないと苦しいから」と返します。

 岡村さんくらい裕福であれば、いくらでもステイホームできるでしょうが、新型コロナ感染症という不可抗力が原因で困窮する人に対して、あまりに思いやりがなく、かつ女性を性的な道具としかみなしていないとして大炎上しました。

 発言のヤバさだけでなく、この発言が明らかにしたのは、岡村さんの“時代おくれ感”なのでした。深夜ラジオがパーソナリティとリスナーの密なやりとりを楽しむ時代がありましたが、今はradikoがありますから、スマホさえあればいつでも誰でも番組を聞くことができます。

 数字が欲しいネットニュースは知名度のある売れっ子をターゲットにしますから、岡村さんは良くも悪くも気を抜いてはいけないはず。時代が進めば価値観や配信方法が変わり、聞き手が変われば、言っていいこと悪いことの基準も自分で変えて行かねばならない。けれど、岡村さんはそのあたりのアップデートがなされておらず、90年代で時が止まっているように思えてならないのです。

 岡村さんのピンチを救うべく、相方の矢部浩之さんが同番組4月30日放送回に緊急出演、公開説教に踏み切ります。矢部さんがきつめに叱り、岡村さんが反省して謝る形を取ることで、世の中の溜飲をさげようとしたのでしょう。そこで明かされたのが、「上にはソフトに、下には厳しい」岡村さんなのでした。

 たとえば、岡村さんは本番中や人がいるところでしか人に謝らない(オフでは矢部さんに謝らない)、プロデューサーやマネージャーにコーヒーを入れてもらっても「ありがとう」を言わない、目上の人に食事に誘われると「ぜひ行かせてください」といい顔をするが、マネージャーに断りに行かせるなど、自分より強い人にはペコペコする一方で、年下、身内、女性に対しては強く出ることを指摘されています。

「売れれば、何をしてもいい」という考えに染まってしまうと、人を自分より上か下かで判断する、自分にメリットのある人にしか敬意を払わないという態度を取りがちです。「美人さんがお嬢」発言は口がすべったわけではなく、弱い立場の人を踏みつける岡村さんの日ごろの態度が出てしまったと言えるのかもしれません。

結婚しただけでは人は変われない

 女性を低く見ることをやめるために、矢部さんは岡村さんに結婚を勧めます。矢部さん曰く、妻が出産して子育てする姿を見るうちに、女性へのリスペクトが生まれていくのだそうです。

 いい話に聞こえますが、自分の子どもを産み育ててくれる人というのはメリットのある女性と言い換えることもできるわけで、女性を含めてメリットのない人全般を下に見る岡村さんと、自分のメリットのある女性をリスペクトする矢部さんは似ている気がしますが、矢部さんのお説教に感動した人は多いようです。

 矢部さんのアドバイスを聞き入れたのか、岡村さんも同年10月に結婚を発表します。2022年にはお子さんも生まれ、2月26日放送の『なるみ・岡村の過ぎるTV』(関西テレビ)に出演した際はお子さんのお弁当を作っていることを明かすなど、子煩悩なパパであるようです。

 しかし、結婚してよき家庭人にはなれても、岡村さんの言動が“まとも”になったかと言われると首をかしげてしまいます。岡村さんの妻子も一般人のカテゴリに入ると言えますが、こちら側の一般人は愛せても、その他大勢、つまり自分には無関係の一般人を敵視するかのような発言が目立ちます。

 結局「結婚すれば女性蔑視が治る」という矢部説は残念ながら間違いで、結婚して矢部さんのようにいい方向に変わる人もいるけれど、みんなが変わるわけではないということだと思うのです。結婚しようがしまいが、ヤバい人はヤバいということですし、自分で変わろうとしなければ、人は変われないということでしょう。

 番組名は失念しましたが、創業何百年、創業秘伝のタレを継ぎ足してきたという老舗の飲食店の方が、老舗が老舗たる秘訣について言っていました。タレの味というのは創業当時と全く同じではなく、季節や時代によって微妙に調整することをし続けているそうです。考えてみれば、江戸時代と現代で人の味覚がまるっきり一緒ということはないでしょうから、当然の企業努力であり企業秘密と言えるでしょう。

 岡村さんも50代を迎え大物芸人と言われる人になったわけですから、自分の良さを保ちつつ、時代に合わせるところは合わせてほしい。“老害風味”のヤバい老舗にはならないでほしいと心から思います。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ。会社員を経てフリーライターに。『サイゾーウーマン』『週刊SPA!』『GINGER』『steady.』などにタレント論、女子アナ批評を寄稿。また、自身のブログ、ツイッターで婚活に悩む男女の相談に応えている。2015年に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)を発表し、異例の女性向け婚活本として話題に。好きな言葉は「勝てば官軍、負ければ賊軍」

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  • 価値観の問題だから議論しても無駄。人それぞれなのだから仕方がない。一つの価値観で社会を覆うのはやめるべき。心の底からそう思う。
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