
子どもが夢を持つのは素晴らしいこと。小さい頃は「サッカー選手」「アイドル」などの夢を持つ子もいますが、成長とともに現実的な方向にシフトしていくことが多そうです。一方で、ある程度の年齢になっても大きな夢を抱いたままの子もいます。そんな夢を現実にしていくのは、熱い思いを抱え続けた子たちでしょう。
「素質がないからあきらめて」と、現実を教えたところ……
ダンサーという夢を持つ中学生のママから、ママスタコミュニティに投稿がありました。「私はダンスで生きていくから、勉強なんてしなくていい」と言う娘さんに対し、現実を突きつけたといいます。
『娘に「勉強しなくてもいいのは、才能・容姿・運に恵まれた人だけ。街を歩いているだけでスカウトされるような、ひと握りだよ。あなた、一度もスカウトされたことないよね?」と言ったところ、ギャン泣き。もう現実を知るべき年頃だよね。これで勉強してくれるようになればいいけど』娘さんはダンス好きではあるものの、道を極める覚悟があるようには見えないのだとか。「面倒なことをしたくないだけ。自分の特技で周りから『すごい!』とチヤホヤされたいだけ」と、投稿者さん。
ダンサーや歌手、アイドルといったエンターテイメントの世界は、持って生まれた華や運など、努力だけでは難しいものが必要かもしれません。勉強という”現実”も努力しているなら応援したくもなりますが、娘さんの場合は違うようです。
『はっきりそう言ってあげられるのは、親だけだよね』投稿者さんに同意するコメントも届きました。これまでさまざまな人生経験を積んできた大人世代からすれば、娘さんの考えは極めて甘く感じられそうです。
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夢があるのは素敵なこと。娘さんの気持ちは受け止めてあげて
『「才能がないから、勉強しなさい!」では、反発して当然。否定から入るのではなく、”勉強も必要だな”という気持ちにさせるように導いては?』娘さんが泣いてしまったのは夢を全否定されたと感じたからではないでしょうか。理由はどうあれ、「これがやりたい!」という目標があるのは素晴らしいこと。全否定するのは少し違う気もします。ダンサーという大きな夢と、そこへの足がかりもまだ見えない現実。このふたつをどう結ぶかを、親子で一緒に考えてみてはどうでしょう。
『例えば「海外に行くなら外国語が必要だよ」とか』ダンスの本場といえば、海外。海外で技術を磨くには、英語がマストです。海外志向でなくても、グローバルな今の時代は外国人ダンサーと一緒に踊る機会もあるでしょう。コミュニケーションの基本は、やはり言葉です。
『ダンスに必要な身体の動かし方にも、理論があるのでは? 「きれいに踊るためには勉強も必要だよ」と言えばよかったのに』ダンサーの資本となる身体の仕組みについても、学んでおいて損はありません。どうすればよりきれいに見えるのか、ケガをしにくい動き方などは積極的に勉強したいところです。どんな食事が動きやすい身体を作るのかなど、学べることは他にもたくさんあるでしょう。
『それでも「学びには興味がない」と言われたら、少なくとも一流にはなれないよね。そのときは一流になれない場合のダンサーの現実を教えるかな』夢を追いかけるのはステキですが、同時にそれなりの覚悟が必要です。生活したりレッスン代を払うためのお金を、どう稼ぐのか? 届いたコメントのなかには「勉強ができないと、ダンス業界に入っても騙されて終わり」という、厳しいものもありました。華やかな世界に憧れる若者を、食い物にしようとする悪い大人もいます。その盾となるひとつは、勉強をして身につける「教養」でもあるのです。
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大きな夢を叶えるためには、大きな努力がマスト。その覚悟はある?
ダンスが好きで、おそらく周囲から褒められる機会も少なくない娘さん。努力もしているはずです。そこはしっかり応援したうえで、勉強も頑張ってもらうにはどんな方法があるでしょう。
娘さんは中学生とのことですから、次に控えるのは高校進学。まずは進学先として、ダンスの強豪高校を目指すのはいかがですか。ダンスが上手な子も多くいるでしょうから、そこでリアルな自分の実力を知ることもありそうです。
『舞踊科のある大学や、体育大学を目指すとか。娘の友達は新体操部で、習い事としてダンスもやっている。今はダンスの強い高校を目指して、それなりに勉強もしているよ』「周囲のダンスが上手な子たちは国際系の大学に行き、留学している。ダンスを学ぶのに英語は必須だし、ダンスを諦めても役立つからって」などのコメントも寄せられました。ダンスで生計を立てられれば理想的ですが、不安定な職業であるのはたしかです。仮にダンサーになれなかったとしても、勉強をしておくことで将来の選択肢が増えます。ダンスにまつわる職業に限っても振付師など複数ありますが、すべて教養があったほうが成功しやすいのは間違いありません。勉強したことは、すべて無駄にはなりません。
ちなみに、「ダンサーになるのに、スカウトは関係ないのでは?」というコメントもありました。「スカウトを待つより、オーディションを受けたほうがいい」と教えてくれる人も。待つだけではなく、自分からチャンスをつかみにも行ける世界です。勉強と並行しながら、あれこれ頑張ってみるのもよさそうです。
『プロになるための養成所の学費がどれだけ必要か、オーディションに受かるためには毎日何時間練習が必要か。わが子には成功している人の背景をリサーチさせたよ』投稿者さんと同じ経験がある方からの声です。どれだけの努力が必要かを教え「あなたはどれだけ頑張れる?」と尋ねたところ、お子さんはあきらめたとか……。
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投稿者さんが今してあげられるのは全否定ではなく、夢を叶えるための努力の方法を教えてあげることではないでしょうか。ダンス強豪校への進学も含めて大人なりの知識で、娘さんの夢を応援してあげてはいかがですか。
文・鈴木麻子 編集・すずらん イラスト・善哉あん