オーストラリアのアルバニージー首相(中央)=25日、キャンベラ(EPA時事) 【シドニー時事】オーストラリアのアルバニージー労働党政権は27日までに、5月に見込まれる次期連邦議会選挙に先立ち追加所得減税法案を上下両院で可決させた。インフレで政権に逆風が吹く中、減税を争点化して挽回を図る。一方、最大野党・自由党はガソリンなど燃料価格の引き下げを掲げて対抗。与野党とも政権を懸け、家計支援を前面に出して激突する。
豪メディアによると、政権は選挙期日を5月3日投開票とする方向で調整している。
労働党政権は昨年7月に所得減税を始めたばかりだが、来年7月からの追加減税を今月25日に電撃的に発表。翌26日に法案をスピード可決した。所定の手続きを経て近く成立する。労働党は上院で過半数に満たないが、左派野党・緑の党などの支持を取り付けた。自由党を中心とする右派の保守連合は反対した。
平均的な中所得者の場合、追加減税額は年536豪ドル(約5万1000円)で、初年度はその半額。4年間に171億豪ドルの財源が必要となる。アルバニージー首相は「手取りが増える。税負担は過去50年で最低水準になる」と訴える。
自由党は政権の追加減税を「開始が遅く、週にコーヒー1杯分程度だ」と批判し、効果が薄いと主張。ダットン党首は27日、公約の目玉として燃料税を1リットル当たり0.25豪ドルに1年間半減させる計画を発表した。