【フィギュア】“りくりゅう”が2年ぶり世界一…取り戻した笑顔「全ての失敗が成功のステップ」

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2025年03月28日 22:13  日刊スポーツ

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ペアで優勝した三浦璃来(右)木原龍一組(撮影・藤塚大輔)

<フィギュアスケート:世界選手権>◇27日(日本時間28日)◇第2日◇TDガーデン◇ペアフリー



【米ボストン=藤塚大輔、松本航】「りくりゅう」こと三浦璃来(23)木原龍一(32)組(木下グループ)が2年ぶり2度目の優勝を飾った。


ショートプログラム(SP)首位で迎えたフリーで143・22点、合計219・79点。ともに今季ベストで、2位と0・71点差の接戦を制した。


日本のミラノ・コルティナ五輪枠「1」が確定。さらに長岡柚奈、森口澄士組との合計順位が「23」となったため、日本として2枠目に挑む権利も獲得。「りくりゅう」以外のペアが9月の五輪予選(北京)に出場する。


 ◇   ◇   ◇


演技が終わった直後だった。観衆の拍手に包まれる中、木原はさらなる歓声を求めて両手を3度振り上げた。あおるようなジェスチャーに会場が沸く。


三浦は隣で「この人、何しているんだろう」と思わず笑っていた。「龍一君が楽しそうに滑っていると、楽しくなる」。3つのジャンプで減点がありながらの世界一も、今は笑顔で受け止められる。木原は「今回楽しかったもんね」とほほ笑んだ。


3カ月前までは、持ち前の明るさを失いかけていた。昨季悩まされた木原の腰椎分離症が癒え、今季は序盤から競技会に出続けたが、2人の表情はなかなか晴れない。向上心の高さゆえに取るに足りないミスに目が向き、木原が「演技内容は話にならない」と切り捨てることも。9歳下の三浦は「ずっと龍一君の顔色をうかがっていた」と萎縮した。


転換点は昨年末の全日本選手権。優勝を素直に喜べずにいると、木原は母から「誰かのお葬式みたい」と指摘された。ハッとした。「自分の目標設定があまりにも高すぎた」。失敗を嘆くのはやめた。三浦も「正しい道に行っていなかった」と明るさを取り戻し始めた。マルコット・コーチは「魔法がかかったようだ」と、原点回帰する2人の変化を感じていた。


この日のフリー。冒頭で2人横並びでの3連続ジャンプが乱れても、顔色を変えずに疾走感たっぷりに舞う。ジャンプなどの技術点は2位だったが、表現面を示す演技構成点はSPに続いて全体トップ。2位と0・71点差で競り勝った。三浦は「小さなミスがたくさんあっても優勝できた」と喜んだ。


2人はもう、失敗を重く受け止めることはしない。演技直後に声をかけ合った。「たとえうまくいかなくても、全ての失敗が次への成功のステップになる」。苦難の先に見つけた光は、ミラノ五輪への道を明るく照らしてくれる。

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