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愛知県で発生した孫を装う特殊詐欺事件で、実行役を集める「リクルーター」を警視庁が摘発した。端緒は、「受け子」役の高校生の不審な行動に気づいた母親の機転と、スマートフォンのアプリだった。
「書類を運ぶだけで3万円」
東京都内に住むこの母親は、高校生の長男からこんなアルバイトがあるという話を聞いた。当初、これを重く受け止めなかったが、その後長男は自身のスマホに、秘匿性の高い通信アプリ「シグナル」をダウンロード。さらに、2024年12月下旬に無断で外泊し、母親が行き先を調べると愛知県に行ったようだった。
こうした動きを察知できた理由は、スマホのアプリにあった。長男は、スマホの利用時間や課金などを制限する「ペアレンタルコントロール(保護者による制限機能)」を使用。アプリの使用状況や位置情報を母親と共有していた。
母親は断片的な情報から、実行役を集めるために高報酬で若者を誘う闇バイトの手口をニュースで見たのを思い出し、24年12月27日、「長男が闇バイトをしているかもしれない」と警視庁小平署に相談した。
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この情報を基にした警視庁少年事件課の捜査で、母親の長男を含む15〜16歳の男子高校生ら3人が受け子役をした疑いが浮上。警視庁は、受け子役のリクルーターとみられる東京都東村山市のアルバイト男性(18)を、詐欺容疑で4月9日に逮捕した。「詐欺グループの指示役に(高校生を)紹介したことは間違いない」と容疑を認めているという。
逮捕容疑は24年12月18〜19日、愛知県豊明市の70〜80代の女性3人の自宅に複数回電話をかけ、孫になりすまして「カバンを紛失した。至急お金が必要になった」などと言い、計500万円をだまし取ったとしている。
長男ら受け子役の3人は、同容疑でいずれも書類送検された。母親は警視庁に相談した理由を「これ以上、闇バイトをさせたくなかった」と話したという。
捜査幹部は「子供の不審な行動で不安があったら、相談してほしい」などと呼び掛けた。【菅野蘭】
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