米グーグルへの排除措置命令について記者会見する公正取引委員会の大胡勝審査局長=15日、東京・霞が関 公正取引委員会が米グーグルに独禁法違反で排除措置を命じた。グーグルや米アップルなど「GAFA」と呼ばれる巨大IT企業に対し、初めて同法違反を認定した。公取委は今後もスマートフォン市場などで公正な競争環境の整備に向け、巨大IT企業に対する監視の目を強めていく方針だ。
「デジタル分野において独禁法違反の疑いがある情報に接した場合には、積極的かつ厳正、的確に対処していきたい」。公取委の大胡勝審査局長は15日の記者会見で、引き続き巨大IT企業と対峙(たいじ)していく姿勢を示した。
今回の排除措置命令に当たり、公取委は海外の競争当局の対応も参考にしたという。米国では連邦地裁がグーグルによる検索市場での反トラスト法(独禁法)違反を認め、司法省もウェブブラウザー(閲覧ソフト)アプリ「グーグルクローム」の事業売却を求めている。
日本国内では、スマホのアプリストアなど4分野で巨大IT企業を規制する新法が今年12月までに全面施行される予定。新法の対象にはグーグルとアップル、同社子会社のiTunes(アイチューンズ)の3社が指定された。
公取委は今月、新法施行もにらみ巨大IT企業の問題に迅速かつ効果的に対応する部署を新設し、トップには局長級となる官房デジタル・国際総括審議官を据えた。さらに、IT分野に精通する民間登用の「デジタルアナリスト」を増やすなど61人体制で臨む。公取委の藤本哲也事務総長は「質量両面からの体制強化により、効果的にデジタル分野への対応ができる」と強調する。