自閉症はナマケモノ、ADHDはサル、発達障害や精神疾患を動物で分類し「職場の困った人」扱い「うまく動かす心理術」カウンセラーの新刊「差別を助長」と物議

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2025年04月16日 23:00  まいどなニュース

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まいどなニュース

三笠書房のホームページより

ASD(自閉症スペクトラム)はナマケモノ、ADHD(注意欠如・多動症)はサル、トラウマ障害はヒツジー。鬱病や適応障害、更年期障害などさまざま疾患に苦しむ人たちを「職場にはびこる『困った人』」として動物に分類し、「『戦わずして勝つ』ためのテクニックが満載!」と謳(うた)った新刊が「差別を助長する」と波紋を呼んでいる。

【写真】「ミスしちゃうよ〜」バナナ片手にパソコンを触るサルに描かれたADHD当事者

三笠書房が4月22日に発売する新刊「職場の『困った人』をうまく動かす心理術」は、帯に「なぜ、いつも私があの人(編注・サルのイラスト)の尻拭いをさせられるのか?」と大書され、「職場にはびこる愛すべき『困った人』のタイプ別対応マニュアル!」として、ASD(自閉症スペクトラム)、ADHD(注意欠如・多動症)、トラウマ障害、自律神経失調症、鬱病、更年期障害、適応障害、不安障害、パニック障害などを持つ人たちを「『真面目ないい人』を苦しませる、職場の『困った人』たち」として、「戦わずして勝つためのテクニックを紹介します」としている。

本の表紙には、スーツ姿の男性の前で申し訳なさそうにうつむくヒツジや、会社の外壁にぶらさがるナマケモノが描かれている。目次などによると、ASD(自閉症スペクトラム)はナマケモノで、「すぐにキレる!」「異臭を放ってもおかまいなし」と表現した。ADHD(注意欠如・多動症)はサルで「机の上はまるでゴミ箱」「同僚の功績を平気で横取り」。愛着障害はウサギで「愛情不足のかまってさん」。トラウマ障害はヒツジで「人の手柄を横取りしてでも評価されたい」「問題が起きたらすべて他人のせい」などと偏見を助長する表現が並び、世代ギャップは「変化に対応できない価値観迷子さん」でタヌキだった。

自律神経失調症や鬱病、更年期障害、適応障害、不安障害、パニック障害は「疾患」とまとめられ、「頑張りすぎて心が疲れたおやすみさん」とうなだれたシマウマに描かれた。

障害者差別解消法では、障害がある人への「不当な差別的取扱い」を禁止し、事業者に対して「合理的配慮」の提供を義務付けている。ネット上では新刊に対して、「障害者を動物扱いしている」「ヘイトを煽る表現」と批判する声が相次いでいる。

著者はカウンセラーの神田裕子さん。著書や神田さんのSNS、ホームページによると、神田さんは「発達障害&カサンドラ症候群、メンタルヘルス、恋愛から離婚育児までカウンセリング歴35年4万件以上のスーパーカウンセラー」で、発達障害の当事者やグレーゾーン、発達障害者のパートナーや家族、同僚のカサンドラ症候群を支援する団体を立ち上げている。発達障害とモラハラのカウンセリングや講演・研修も行っているという。著作に「パートナーが発達障害かも?と思ったときに読む本」(すばる舎)などがある。

神田さんは新刊「職場の『困った人』をうまく動かす心理術」について、「あなたの周りにいる困ったさん対策!」「ぜひお役に立ててください」などとSNSに投稿している。

まいどなニュース編集部は三笠書房と神田裕子さんに対して、以下のような質問文を送った。

1 ASDの方をナマケモノ、ADHDの方をサルなどと動物で表現したことについて、差別を助長する可能性はありませんか。
2 職場にはびこる「困った人」として、ASD、ADHD、愛着障害、トラウマ障害、自律神経失調症、うつ、パニック障害などの精神疾患を伴う障害のある方々を列記していることについて、表現に問題はありませんか。「合理的配慮」を「尻拭い」と表現していることに問題はありませんか。
3 今回の書籍出版に関して、SNSなどで挙がっている批判の声をどう受け止めていますか。
4 出版内容、日程に変更の予定はありませんか。

回答期限を4月17日にしており、出版社および著者から回答があれば続報する。

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  • 色々、問題はある。最たるものは「発達障害の専門家」と名乗っておきながら、それに気づかず、誤解偏見を産む書籍を出していること。
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