写真―[絶対夢中★ゲーム&アプリ週報]―
◆Switchにソニー系ゲームという密かなサプライズ
Switch 2の発表でインパクトが薄れてしまいましたが、3月27日のニンテンドーダイレクトでちょっとしたサプライズがありました。それは『みんなのGOLF WORLD』『パタポン1+2 リプレイ』がSwitchでも発売されるというアナウンス。
特に『みんなのGOLF』といえばプレイステーションを代表するシリーズ。それが任天堂のハードで出るとは! 今回の新作『みんなのGOLF WORLD』は、SIE(ソニー・インタラクティブエンターテインメント)とのライセンス契約のもと、バンダイナムコエンターテインメントが発売し、PS5、Switch、Steamとマルチプラットフォームで展開されます。
詳しい経緯はわかりませんが、2021年にSIEの国内スタジオ「SIEジャパンスタジオ」が再編されて事実上解散し、宙に浮いていたIP(※会社が持つゲームブランドやキャラクターなどの知的財産)を上手く活用するために話がまとまったのではないかとささやかれています。
TVゲームにも歴史があり、過去にスマッシュヒットしたものの現在は眠っているIPは数知れず。今後はハードやメーカーの垣根を超えたIPの活用が積極的に進むかもしれません。
ということで今回は、Switch&Switch 2で新作が発売されたら、大復活を遂げること間違いなしと思える、PS系ハードのタイトル7本+αを紹介したいと思います。みなさんが復活を希望するタイトルは何ですか?
◆いたずらなサルを追いかけろ!
●サルゲッチュ
PS1/1999年発売
ヘルメットをかぶったサルを次々と網で「ゲッチュ」していく、コミカルな「サルつかまえアクション」。
PSのアナログスティック付きコントローラ「DUALSHOCK」に合わせて制作された専用ソフトで、2本のアナログスティックを使い分けるアクションが秀逸。また、ピポサルたちのユーモラスなしぐさは見ているだけでも楽しめます。一時期は続編など多数のタイトルが発売されましたが、PS3の『フリフリ!サルゲッチュ』(2010年)が事実上の最終作となっています。
Switch 2にはワンボタンでボイスチャットや画面共有ができるCボタンが搭載されているため、もし新作が出れば、友達と一緒にプレイしてみたいです。
◆古城からの儚くも切ない逃避行
●ICO
PS2/2001年発売
アートのような幻想的な雰囲気が口コミで人気を呼んだアクションアドベンチャー。当時SCEに所属していたゲームデザイナーの上田文人さんによる初ディレクション作品です。
儚げな少女ヨルダは非力で、放っておくと黒い影にさらわれてしまいます。それを主人公のイコが手をつないで助けるというシステムは、物語ともリンクして感動的。
ファンを公言する直木賞作家の宮部みゆきさんが小説『ICO 霧の城』を執筆したことも話題になりました。その後『ICO』チームが制作した『ワンダと巨像』(PS2/2005年)、『人喰いの大鷲トリコ』(PS4/2016年)も思い出深い作品です。
◆ダンジョンに襲来する勇者を倒せ!
●勇者のくせになまいきだ。
PSP/2007年発売
SCEジャパンスタジオ(後にSIEジャパンスタジオに改称)がプロデュースし、『天誅』のアクワイアが開発した、一風変わった「ダンジョン・マネージメント」ゲーム。魔王に召喚された破壊神となって、ダンジョンに侵入する勇者を撃退していきます。
「ツルハシ」アイコンを動かしドット絵調のダンジョンを掘るのが主な内容。魔物が発生して食物連鎖が構築され、それを利用することでダンジョンが発展するという面白い仕組み。タイトルからしてパロディ満載で、魔王のセリフにもクスッとさせられました。
コンシューマでは『V!勇者のくせになまいきだR』(PS4/2017年)が現状の最終作。Switch 2にはマウス機能が搭載されているため、細かい配置が必要なシミュレーションゲームとは相性が良さそうです。
◆和風モダンホラーの傑作
●SIREN
PS2/2003年
日本の寒村・羽生蛇村を舞台に、登場人物たちが村を徘徊する屍人から逃げ惑う3日間を群像劇として体験するジャパニーズホラーゲーム。CMが怖すぎて放送中止になったという逸話もあります。ディレクターは初代『サイレントヒル』(PS1/1999年)の外山圭一郎さん。
基本的に避けて隠れるのがメインという高い緊張感と、ループする3日間の物語を考察する奥深さが相まって熱狂的なファンを生みました。続編として『SIREN2』(PS2/2006年)、『SIREN:New Translation』(PS3/2008年)がリリースされています。
◆音楽ゲームというジャンルの開拓者
●パラッパラッパー
PS1/1996年発売
ミュージシャンの松浦雅也さんが企画し、イラストレーターのロドニー・グリーンブラットさんがキャラデザを担当した、画期的な音楽ゲームが『パラッパラッパー』。
ポップなキャラと、ラップに合わせてボタンを押す新鮮なゲーム性がウケて、PSハードが次世代ゲーム機戦争に勝利する立役者ともなりました。続編に『ウンジャマ・ラミー』(PS1/1999年)、『パラッパラッパー2』(PS2/2001年)があります。
ちなみに、Wiiで同じスタッフによるマーチングバンド音楽ゲーム『メジャマジ・マーチ』(2009年)という精神的後継作のようなタイトルが発売されましたが、こちらはヒットせず……。ゲームの成功にはタイミングや時代の風などさまざまな要素が絡んでいるのでしょう。
◆かわいいポケピたちとおしゃべり
●どこでもいっしょ
PS1/1999年
白猫の井上トロやその仲間たちに言葉を教えておしゃべりするコミュニケーションゲーム『どこでもいっしょ』。シリーズのなかでも個人的にぜひ復活してほしいのが第4弾『トロと休日』(PS2/2001年)。神奈川県の港町・三崎で、どこかとんちんかんな会話を交わしながらトロとのんびり、ノスタルジックな休日を過ごすという内容。
実写の風景にCGのトロが上手く溶け込んでいて、ARとAI、今のトレンドを20年以上前に先取りしていたように感じます。Switch 2にトロが来て、ゆくゆくは『スマブラ』に登場するなんて世界線もあるのでしょうか。
◆マイクを活用したゲームの可能性
Switch 2にはマイクが内蔵されていて、こちらの声を拾ってくれます。このマイクを活用できそうな過去のタイトルとして、真っ先に思いつくのが『シーマン〜禁断のペット〜』(ドリームキャスト/1999年)。ドリームキャストの顔ともいえるゲームですが、移植版と続編『シーマン2〜北京原人育成キット〜』(2007年)はPS2でも発売されています。おっさん顔の謎生物と会話する内容は、ゲーム実況でもバズりそう。Switch 2なら、シーマンのぬめっとした質感もよりリアルになるのでは(笑)?
また、PS2で発売されたSCEの『オペレーターズサイド』(2003年)も隠れた良作。近未来の宇宙ステーションのモニタールームに閉じ込められた青年となり、ヒロインにマイクで指示を出して脱出を図ります。
当時はマイクの音声認識が甘く、もどかしいコミュニケーションでしたが、今ならリアルな会話ができて、より臨場感もアップしそう。AIを搭載して、的確な会話をすると恋愛ルートに入るなんて仕掛けもいいかもしれません。
以上、SCEのタイトルと『シーマン』の計8本を紹介してきました。ちょっとマイナーなところでは、PS1の『ジャンピングフラッシュ!』(1995年)や『俺の料理』(1999年)も好きでした。ぜひ令和に新作で復活を!
―[絶対夢中★ゲーム&アプリ週報]―
【卯月鮎】
ゲーム雑誌・アニメ雑誌の編集を経て独立。ゲーム紹介やコラム、書評を中心にフリーで活動している。雑誌連載をまとめた著作『はじめてのファミコン〜なつかしゲーム子ども実験室〜』(マイクロマガジン社)はゲーム実況の先駆けという声も