純金の延べ棒(資料・AFP時事) ニューヨーク商品取引所の金先物相場は日本時間22日午後の時間外取引で、トランプ米大統領がパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長に利下げを求めたのを背景に急騰し、取引の中心となる6月決済物が初めて1オンス当たり3500ドルを突破した。パウエル議長の進退を絡めた要求で金融市場全体が混乱し、安全資産として金を買う動きが強まった。
ニューヨーク金相場は昨年11月、2500ドル台を付けた後は徐々に強含み、今年1月のトランプ大統領の就任後は高関税政策への懸念から買いが加速。ほぼ一本調子の上昇で、3月中旬に初めて3000ドル台に乗せた。4月に入ると、貿易戦争激化による景気後退や米ドルの信認低下への不安が強まり、半月ほどで水準を約500ドルも切り上げた。
楽天証券経済研究所の吉田哲コモディティアナリストは、「ここ数週間の上昇はかつてない勢いで、高値警戒感が出てもおかしくない。しかし、株や債券、ドルからの資金流入が続いている側面を考えると、短期的にはまだ上値余地がある」と話した。