
若年性パーキンソン病と向き合いながら、色鮮やかな「アルコールインクアート」に励む女性がいる。成宗愛子さん(42)=岡山市。手の震えなどの症状と闘いながら生み出した作品を、同市北区表町の市男女共同参画社会推進センター・さんかく岡山で発表した。「自分の心情や思い出、夢を自分なりの色彩で表現した作品を見てほしい」と語る。
【写真】若くして亡くなった友人を思い、天国へと飛び立つチョウを描いた作品
白い紙に特有のにじみを持った点や線が混じり合う。インクが混ざった瞬間に生まれた一期一会のグラデーションの世界は華やかであり、時にさみしげでもある。
会場には「人生のLove letter」をテーマにした約20点が並んだ。若くして亡くなった友人を思って描いた作品は、赤と緑、黄色がゆるく混じり合う背景に、天国へと飛び立つチョウを描き、朗らかな人柄を表現したという。
パーキンソン病は全身の運動機能に障害が起こる病気。35歳の頃、手のしびれや震えを感じるようになった成宗さん。だんだんと体も動かしづらくなり、39歳の時、精密検査をしたところ「若年性パーキンソン病」と診断された。
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投薬やリハビリの日々に自信や希望をなくし、家から出なくなった。同じ病気の人同士が励まし合う「パーキンソン病友の会」を病院から紹介され、初めて足を運んだのは昨年1月。少しずつ気持ちが前向きになった同3月、生活情報紙「さりお」の記事でアルコールインクアートに出合う。
インクの混ざり合いでできる模様を楽しむ技法に「他にはない表現だ」と心を引かれ教室に参加。「毎日制作にいそしむようになった」と振り返る。
今年に入り「作家としてファンを増やしたい」と、公民館講座の講師になり、JR岡山駅地下通路のショーケースへの展示など「アーティスト」活動を本格化させた。今後、作品をあしらったポストカードや便せんといったグッズ販売にも力を入れる。
展示はほかに、犬のような形の模様に花形の和紙を貼り付けた一枚、青や赤のインクを染みこませたガーゼをグラスに入れ、家族旅行で食べたハワイのカラフルなアイスを表現した作品も目を引く。
成宗さんは「言葉や文字で伝えるのが苦手な私はアートで自分自身を表現している。楽しみながら活動していきたい」と意気込む。
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さんかく岡山での展示は25日まで毎日午前9時半〜午後8時。
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