ドコモ新料金で日本の「20GB」はまた値上げ? 「複雑」との批判あるも、残された「選択肢」に要注目

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2025年04月26日 17:20  ITmedia Mobile

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ドコモは2025年4月24日、新料金プランを複数発表した。データ容量無制限を主軸にしたものを「ドコモ MAX」、小容量プランを「ドコモ mini」と銘打った。ポイ活プランには、20GBの「ドコモ ポイ活 20」を新たに用意した

 携帯電話の料金プラン、特に20GBプランは、かつて非常に高額だった──。


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●日本の携帯電話料金は高すぎた


 日本の携帯電話料金については、かつて菅義偉官房長官(2012年12月〜2020年9月)が、「日本の携帯電話料金は高すぎる」との考えを述べたことも大きく報道された。菅官房長官がそのように発言していた当時は、まだ楽天モバイルが携帯電話市場に本格参入する前だったため、「NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社寡占」が続いており、菅官房長官いわく、これが「携帯電話料金の高止まりの原因」だったわけだ。


 総務省が2018年に公表した調査によれば、東京での20GBプランの月額料金は8642円で、ニューヨークやロンドン、パリなど他の主要都市と比較しても最も高かった。この状況に対し、政府は「家計の負担軽減」を掲げ、携帯料金の値下げを強く求めた。とりわけ2020年には、当時の武田良太総務大臣が率先して携帯料金の是正に動き、通信事業者に対し値下げの圧力を強めていた。


 同年10月30日の会見では、サブブランドでの新プランが登場したことで、「事業者、ブランド問わず、利用者にとって魅力的な料金・サービスの選択肢が新たに出てくることは間違いない」と期待を寄せていたが、肝心のメインブランド(ソフトバンク、au)で値下げをしないことは「問題」とした。


 当時、KDDIの「UQ mobile」とソフトバンクの「Y!mobile」から、月額4000円前後で20GBが使える、当時としては比較的割安な料金プランが登場したものの、11月20日には、これを「羊頭狗肉」と苦言を呈するなど、“形だけの値下げ”に厳しい視線を向けていた。


 特に高齢者などへの分かりやすい説明が不足していることも批判の的となり、「全ての国民が低廉化の恩恵を享受できるように、メインブランドでも値下げすべきだ」と訴えていた。


●「ahamo」登場によって、実に6割強の値下げ


 その後、2020年12月3日にはNTTドコモが、オンライン契約に限定した20GBの新料金プラン「ahamo」を発表し、翌日の会見で武田氏はこれを「実に6割強の値下げ、平成18年度からは70%を超える値下げに踏み切った。公正な市場に競争を導く大きなきっかけになると期待している」と評価。


 ahamoは当時、ファミリー割引の「家族内通話無料サービス」やキャリアメール「ドコモメール」に非対応など、実質的にはサブブランドに近い仕組みだった。それでも、MNP(携帯電話番号を引き継ぐ乗り換え)の手数料が不要で、ドコモのユーザーがahamoへ容易に移行できることから、従来よりもハードルが低い料金プランとして一定の評価を得た。


 2024年には、ドコモがahamoの月額料金を変更せずに月間データ容量を30GBに増量した。しかし、2025年4月24日、ドコモは新たに20GBの別プラン「ドコモ ポイ活 20」を発表。このプランは、割引をフルに活用すれば実質2068円で利用可能。月額料金としては2018年の調査結果を大きく下回る。


 だが、その割引内容を確認すると、「最大2500ポイント(うち1000ポイントはdカード積立)を料金に充当すること」や、「dカードでの支払いにより月550円引きとなること」、「ドコモ光/home 5Gセット割りで月1210円引きとなること」など、複数の条件を満たさなければ実質2068円にはならない。


 各種割引適用前の素の料金は7898円(20GBまで)と、かつての高額な水準に戻りかねない印象もある。実際、各種割引適用前の価格を見る限り、「メインブランドで誰もが簡単に値下げを実感できる」という武田氏がかつて求めた形とは、今なお距離があると言わざるを得ない。


 2025年4月24日の会見で、ドコモの齋藤武副社長は「ニーズの多様化に応じた新たな料金体系」を理由にプラン刷新の意図を語ったが、結局のところ20GBプランは「再び値上げされた」とも受け取られかねない。


●利用者自身に合う料金プランを「見極めること」が重要


 ドコモが示した割引の条件について、Xでは「複雑だ」との批判の声が上がっている。しかし、金融サービスや他の付加価値サービスを組み込み、条件を加えて安く見せるやり方は、今に始まったことではない。これは、他キャリアも以前から取り入れている戦略であり、特別なことでもない。


 消費者として忘れてはいけないのは、ドコモ(docomoブランド)の他にも選択肢があることだ。


 もし、ドコモのネットワークを使ったシンプルな料金プランを求めるのであれば、ahamoを契約するのが1つの解決策だ。複雑で分かりにくい実質的な料金の見せ方を嫌うのであれば、他社やMVNO(仮想移動体通信事業者)を選ぶという選択肢も十分にある。


 最終的には、どの料金プランが利用者自身にとって最も適しているかを、しっかりと見極めることが大切だ。



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