
京都府在住の40代男性・keiさんは若いころ、睡眠時間を削って忙しく働いていた。
そんな無理が祟って、ある日、通勤ラッシュで混雑する電車の中で倒れてしまったという。
そんな彼を、周りの乗客たちが――。

徹夜明けの通勤ラッシュで...(画像はイメージ)
<keiさんからのおたより>
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約25年前、私は大阪で一人暮らしながら、睡眠時間を削って2つの仕事をこなす毎日を送っていました。
そんなある日、地元で友達の集まりがあったので、終電で京都の田舎に帰省することに。大阪へは次の日の始発で戻る予定でした。
そして迎えた徹夜明けの朝、京都駅から大阪へ向かう新快速に乗り込みました。
ラッシュ時間も重なり、私はなんとか吊り革を握ることができましたが、その後無理が祟ったのか気絶してしまったようで......。
「この温かい状況は何なのだろう」
目を覚ますと、私はすごい汗をかいていて、周りには半径2メートルほどの空きができていました。
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徐々に周りの状況を把握し始めたころ、声が聞こえてきました。「目が覚めた!」「貧血なので安心して下さい」「大丈夫?」という声です。
私は恥ずかしさと驚きを感じつつ、体も起こしてもらいながら下を向いてやり過ごそうとしていました。

通勤ラッシュの新快速で倒れてしまって...(画像はイメージ)
私の右手と右足をさすり続け、温かい言葉をかけてくれた老夫婦。
私の左足をさすって励ましてくれる頼り甲斐のあるサラリーマン。
左手の脈を確認しながら冷静に指示を出している看護師らしき2人。
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私の背後にも声掛けやマッサージ、励ましをしてくれている人たちがいました。
驚きました。都会では挨拶をしないのが普通であり、知らない人に挨拶をするとおかしく思われます。それなのに、この温かい状況は何なのだろうと思いました。
厚い人情に触れたあの日の思い出を大切に
ひとりのサラリーマンが「体調が悪いから、一旦次の駅で降りよう」と促してくれました。私は頷いて降車することにしました。
降りる間際、「みんな色々してくれた。お礼を」と言われましたが、私は恥ずかしさでお尻を向けたまま振り向き、会釈をすることしかできませんでした。
そのサラリーマンは一緒に降りてくれて、目の前の自販機でジュースを買って私に渡してくれました。
その後、彼は各駅停車に乗り込んで去っていきましたが、「頑張っている奴は好きだ」と言ってくれました。

一緒に降りてくれたサラリーマンが...(画像はイメージ)
現在、私には小さな子供がいて、優しくしてくれた皆さんの気持ちを大切に生きています。
あの時、きちんとお礼を言えなかったことを、申し訳なく思っています。
感動的な出来事であり、厚い人情に触れました。もう一度改めて、本当にありがとうございました!
誰かに伝えたい「あの時はありがとう」、聞かせて!
名前も知らない、どこにいるかもわからない......。そんな誰かに伝えたい「ありがとう」や「ごめんなさい」を心の中に秘めている、という人もいるだろう。
Jタウンネットでは読者の皆さんの「『ありがとう』と伝えたいエピソード」「『ごめんなさい』を伝えたいエピソード」を募集している。
読者投稿フォームもしくは公式X(@jtown_net)のダイレクトメッセージ、メール(toko@j-town.net)から、具体的な内容(どんな風に親切にしてもらったのか、どんなことで助かったのか、どんなことをしてしまい謝りたいのかなど、500文字程度〜)、体験の時期・場所、あなたの住んでいる都道府県、年齢(20代、30代など大まかで結構です)、性別を明記してお送りください。秘密は厳守いたします。
(※本コラムでは読者の皆さんに投稿していただいた体験談を紹介しています。プライバシー配慮などのために体験談中の場所や固有名詞等の情報を変更している場合がありますので、あらかじめご了承ください)