<アーティスティックスイミング(AS):日本選手権>第1日◇3日◇東京アクアティクスセンター◇デュエットテクニカルルーティン(TR)ほか
三重県から初の女王が誕生した。元五輪メダリストの武田美保コーチ(48)が指導する「みえASC」の島田綾乃(18)種田なつは(20)ペアがデュエットTRで初優勝。クラブから初の日本選手権者を出し、武田コーチは「ほっとしました」と笑顔をみせた。
昨年パリ五輪代表の島田と元世界ジュニア代表の種田が「サイボーグ」のテーマに乗って、力強く、時にコミカルに水面を舞った。トップに立つ259・9524の高得点が出ると、島田と種田は武田コーチと抱き合って喜んだ。「合っていたよと言われ、うれしかった」と島田は笑った。
武田コーチは、96年アトランタ大会から五輪3大会で5個のメダルを獲得した名選手。現日本代表ヘッドコーチの立花(現姓宮川)美哉さんとのペアで01年福岡世界選手権デュエットで日本に初めて金メダルをもたらしたが、その時のテーマが「ロボット」だった。 「テーマを決めたのは彼女たちの意見なので、たまたまですよ」と武田コーチは話したが、種田は「カチカチした動きとか、止まるところとか、何度も映像を見て参考にしました」。コーチの「世界一演技」が、クラブ初の日本選手権優勝をサポートした。
04年アテネ五輪後に引退した武田さんは07年の結婚後、後に三重県知事となる夫の鈴木英敬氏を支えるために三重に移住。「人間関係も希薄の中で、自分らしくいられるのはASしかないかな」と決意して「もともとあったクラブに手伝わせてくださいと言って」11年から指導を始めた。
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「最初は大会に出ても予選で落ちて、本選には出られないレベルだった」と振り返るが、井村シンクロクラブ時代に井村雅代コーチから薫陶を受けた指導法で選手たちも急成長。「島田も種田も競泳の大会で見かけて、足のラインがきれいだった。中学入学前から指導していますが、よく付いて来てくれたなと思いますね」と言って笑った。
今回は23年に日本代表入りした島田が、負傷のために離脱。「クラブで日本選手権に出たいと言ってくれたのが、うれしかった。周囲の期待もあったし、優勝させないといけない使命感もあった。だから、三重初もうれしいけれど、それ以上にほっとしています」。武田コーチは明かした。
クラブに所属するAS選手は小学生を入れて13人。今大会出場も4人だけだ。「練習場は鈴鹿サーキットの近く(三重交通Gスポーツの杜鈴鹿)で、車での送り迎えも必要。まだまだASを始めるのに、三重はハードルが高いんです」と話すが、日本選手権優勝で競技を目指す子どもたちが増えるかもしれない。
「自分自身も若いころ、人間形成の時期に競技にすべてを注いできた。指導をしていると楽しかったり、悔しかったり。結局(ASが)好きなんですね」と武田コーチ。今回はデュエットだけでなく、島田のソロも優勝を狙っていたがTRは2位。「ちょっと、鍛え直しますか」。笑いながら言うと、選手たちが待つプールへと駆けだした。
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