

コウタロウが手渡してくれたのは小さなようかんひとつ。紙袋が大きかったので正直「えー、これだけ……?」と思いましたが、お礼を言って受け取ります。するとコウタロウは紙袋の底から、ようかんよりもはるかに大きな箱を取り出しました。


「おいしそうだろ? ママのようかんを買いに行って、食べたくなっちゃったんだ。パパが2つ食べるから、ソウタは好きなの1つ選んでいいよ〜」コウタロウは私に見せつけるようにケーキを食べはじめました。


コウタロウが自分たちだけおいしそうにケーキを食べるので、なんだか悲しくなってしまいます。我慢できずにその場を離れて寝室へ向かうと、コウタロウが「もしかして怒ってる?」と様子をうかがうように聞いてきました。
どうして私の気持ちが分からないのでしょう。母の日の主役である私には小さなようかんをくれただけで、自分はおいしそうなケーキ。目の前で自分たちだけ食べられたら誰だっていい気はしません。本当なら「何考えてるの!」って怒鳴ってやりたかったけど、ソウタが喜んでいるからグッとこらえたのです。
けれどコウタロウはきょとんとした様子。「え? 何で怒るのか分からないんだけど……どういうこと?」そんなひどいことってありますか!?
【第2話】へ続く。
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