
今年のGWも、国内外からすさまじい数の観光客が訪れた「京都市」。
だが、京都市の観光産業は市内総生産の約10%程度。意外にも市民の大半はいわゆる「インバウンド」の恩恵を受けておらず、むしろオーバーツーリズムの犠牲になっているのが現実だ。
「オーバーツーリズムで民家やお店の周りに座り込み、大騒ぎ、飲食、タバコ、生ごみ捨てて行かれるのがますます酷くなってます。京都の観光地や周辺の住宅街の人は本当に辟易してます。同じ京都市内でもわかってもらえないのがつらい。町内のほとんどが民泊、宿泊施設で、法律で何とかならないものかな?」
そうつぶやき、投稿者がX(旧Twitter)にポストしたのは、真新しい「民泊施設」の前に座り込み、たむろする数人の外国人観光客の姿。
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京都市内では今、店舗前や住宅の玄関前に座り込んだり、無断で敷地内に立ち入り、撮影をしたりゴミを捨てていく「訪日外国人観光客」が問題になっている。
禅寺でAVまがいの行為を行う観光客も
もちろん、イラストや多言語による「注意書き」などの対策も行われている。
だが先日も、定休日だった京都市内の寺に侵入した中国人観光客が建造物侵入容疑で逮捕されたように、訪日外国人観光客による愚行が後を絶たない。
投稿者に聞いたところ、「撮影場所は六波羅蜜寺や六道珍皇寺に近い、普通の住宅街のような場所です。店舗や民家の前に座るのも問題ですが、市民生活の全てにおいて、観光客の多さによる息苦しさを日々感じています」と言う。
「家族が目撃したのですが、建仁寺でカップルが人目も気にせず行き過ぎた行為をしていたそうです。境内での喫煙やタバコのポイ捨てなどもあり、すでに建仁寺さんにはご報告済みです。
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他にも、市民が市バスに乗れない、地元の人しか行かないお店にも観光客が行列、『通れないので道をあけて』と言っただけで激昂するアジア人女性、民泊が多過ぎて近所のスーパーが常に品薄…など、日々の生活面で本当に困っています」
もはや「京都」じゃない
円安効果で来日する観光客の多くにとっては、京都の寺院や景観は単なる「映えスポット」に過ぎないのだろう。
だが、地元民にとってそこは菩提寺であったり、大切な思い出や思い入れのあるかけがえのない場所だ。
また、民泊利用客が商品を買い占めるという地元のスーパーやコンビニ、常に観光客とその大型スーツケースで満杯の京都市営バスは、地元民の重要な生活インフラである。
生まれも育ちも住まいも京都市内という投稿者は、「自分も海外で親切にしてもらった経験があり、なるべく観光客の方には親切にしたいですし、京都に来て良かった…と感じてもらいたいと思っています」と語る。
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「ですが、あまりにも人数が多過ぎて、すでに限界に近い状態です。また、最近出来たお店の大半はニセモノの京都風のしつらえで景観まで悪くなってしまい、本当に京都を好きだと思ってくださるセンスのある方々はもう京都に来たくなくなってるようで悲しいです…」
もはや京都市内は「正常な市民生活の持続が難しい街」
日本政府観光局の発表によると、すでに2025年3月の訪日外客数は349万7,600人となり、過去最速で1,000万人を突破したという。
令和5年3月31日に閣議決定した「観光立国推進基本計画」には、「持続可能な観光地域づくり」という施策が提示されている。だが、少なくとも京都市内の現状はもはや施策とは程遠いようだ。
注意しても笑う「訪日外国人観光客」、京都市民のコメント
「これは家のひと怖いし迷惑だろうな…」
「いま京都の人らが心底辟易してるのはこういう状態についてなんよ…」
「高齢の母はバスにも乗れなくなり、ぶつかられると怖いからと四条や百貨店にも行けなくなりました」
「京都市民です。バスで衣笠あたりへ行く用事がありますが、ひどいです。予定の30分前のバスに乗らないとダメなので睡眠時間が削られています。そして彼らはバスにスーツケースを持ち込み、通路の真ん中にある段差にも座ります」
「伏見稲荷の周りも本当にひどいです。庭にまで勝手に入って写真を撮ってた外国人もいてます。注意しても笑ってるだけです。そのことを京都市長への手紙みたいなので訴えても返答もありません。住民税も固定資産税も払ってなぜこのように嫌な思いをしなくてはいけないのか」
「地元の人の生活に支障が出る産業はもはや産業ではない」
(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・はやかわ リュウ)