息子の入学式に参列した林さん(仮名)DVに苦しんでいるのは女性だけではない! 男女の価値観が大きく変容するなか、男性の被害も深刻化している。なぜか? 今回、心身を蝕まれながらも弱音を吐けない男たちの心の叫びに耳を傾けた。
◆言葉や態度で追い詰める“精神的DV”
目に見える暴力ではなく、言葉や態度で追い詰める――。そんな妻の言動に心を殺されているのが林幸司さん(仮名・45歳・SE)だ。フルタイム出社の妻(48歳)に代わり家事をこなしている。
「僕はリモート勤務中心なので、炊事以外の多くを担当しているんですが、妻は帰ると僕の家事チェックに入り、ミスした箇所を数えて『あなたは何の役にも立っていないね』と人格否定するんです。常に減点方式で、褒められることなんてないですね」
以前は穏やかな性格だった妻だが、7年前の出産を機に攻撃的な性格に変貌したそう。
「不平不満や被害妄想が激しくなり、何げない言葉を悪い方向に解釈して激怒。最終的には『私は何も変わっていない、我慢するのをやめただけ』と吐き捨てられましたね」
◆もはや妻ではなく“攻撃してくる危険人物”
そんな攻撃的な言葉や態度は、小学1年生になる息子にも向けられるという。
「妻は僕より高学歴で『教育には口を出すな』というスタンス。テスト前は息子に『絶対100点を取って』とプレッシャーをかけ、ミスがあれば『なぜ間違えた?』と延々詰める。今は登校前の“朝勉”に加え受験塾にも通わせています。高学年になったら今以上に妻が荒れそうで、すでに憂鬱です」
妻の言葉のナイフに傷つき、心はすでにボロボロだ。
「とにかく『言い返さず我慢』『返事は“はい”だけ』と決めて耐えてきましたが、限界を感じてます。例えば妻が下着姿で家をウロウロしていると吐き気がするほど不快だし、同じ空間にいると呼吸が浅くなって苦しくなる……。もはや妻ではなく、“攻撃してくる危険人物”という認識なんですよ」
◆別居願いのメールを送った結果…
そして今年1月、ついに意を決して別居願いのメールを送ったという。
「離婚は子供が寂しがるだろうから“仕事場”名義で自宅近くに部屋を借りようと思ったんです。メールには今までメモに記しておいたモラハラや精神的苦痛を書き連ねたら、7000文字超の長文になりました」
だが、妻の反応は冷淡なものだった。ひと言「子供の教育上よくないから」と即却下されてしまう。
「結局、妻から謝罪の一言もなく、状況は何も改善してない。今はもう、子供の独立まで心を殺して耐えるしかないのかなと思っています」
子供のため無心になることを誓った林さんだが、この過酷な状況で、残り十数年を生きられるのだろうか。
取材・文/週刊SPA!編集部
―[[男のDV被害]の実態]―