恐竜学部の教授らが研究を行う福井県立大の恐竜学研究所=4月18日、福井県永平寺町 日本一の恐竜化石発掘数を誇り、県名にちなんだ恐竜もある福井県の県立大学で4月、国内初の恐竜学部が新設された。博物館と連携し、座学だけでなく化石の発掘にも参加することで、研究の最前線に触れることができるのが特長だ。
1期生として、県内外から34人が入学。4年間で、地質調査、化石のレプリカ作成、語学、CTスキャンや3Dモデリングなど、恐竜研究に必要とされる技術を横断的に学ぶ。2年目からは、恐竜博物館に隣接して建設中の勝山キャンパス(同県勝山市)に移り、博物館の施設を共同利用して館職員と共に実践的なスキルを身に付ける。
世界的に著名な恐竜研究者5人を客員教授として委嘱。今後、特別授業や共同研究も行う予定だ。
学生は1年目、「フクイラプトル」をはじめ、数多くの新種恐竜が発掘された山々が近くにある永平寺キャンパス(同県永平寺町)で学ぶ。4月中旬、構内の教室では和やかな雰囲気で地質に関する講義が行われた。
学生は地質図について基礎的な説明を受けた後、校舎の中庭の地形を描く実習に参加。複数の班に分かれ、歩数や方角から計測した地形を方眼紙に記入した。
「難しかったが、徐々に慣れていきたい」。岐阜県から進学した佐藤あまねさん(18)は、恐竜好きだったことから、同学部を第1志望に受験勉強に励んだ。将来は「研究員になりたい」と笑みを見せる。
3月まで高校で地理の教員をしていた岡本歩佳さんは、学部創設を知り、チャンスを逃すまいと働きながら入試に挑戦した。「古生物を学び、現代の環境問題や減災について考えたい」と話した。
学部新設の狙いには、地域の活性化もある。西弘嗣学部長は「福井県は『恐竜県』として知られているが、人材育成も行う必要がある」と強調。1期生は約8割が県外出身で、「卒業生が福井に住んだり、恐竜に関連した職に就いてくれたりすればありがたい」と話した。

教授(左から2人目)からアドバイスを受ける恐竜学部の学生(右)=4月18日、福井県永平寺町

恐竜の化石の前に立つ、福井県立大恐竜学部の西弘嗣学部長=4月18日、福井県永平寺町