65歳人気ユーチューバー、70歳の夫と再就職で得た暮らしの安心「“ないならないなり”に楽しむ」

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2025年05月26日 07:00  週刊女性PRIME

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写真提供/pokkomaさん

 定年を過ぎても働く人が増えている。人気ユーチューバーのpokkomaさんも先日、70歳の夫ともども再就職を果たした。「年金だけでは心もとないのは事実。元気なうちに稼げたらお財布だけでなく、生活にも気持ちにも余裕ができます」シニアでも希望の条件で働くチャンスはまだあるとpokkomaさんは話す。

外出しなくていいのがこんなにラクなのかと

 62歳で始めたYouTubeチャンネルが、視聴回数145万回を超すコンテンツを生み出すなど、人気ユーチューバーとして活躍するpokkomaさん(65歳)

幼稚園教諭として働いたあと結婚し、1人目を妊娠して3年間だけ専業主婦をしていたのですが、それ以降は在宅勤務を皮切りに、コールセンターや設計事務所などで勤務し、ずっと働きづめ。それが60手前で体調を崩して仕事を辞め、7年がたちます」(pokkomaさん、以下同)

 最初の1〜2年は、体調を取り戻すための療養期間として自宅でのんびり過ごした。

今までの生活と天と地ほど違って、外出しなくていいのがこんなにラクなのかと久しぶりに実感しました

 ただ、身体の回復とともに焦りを覚え始める。

1日があっという間で。『このままではいけない』と思って、趣味だったパン作りを再開したんです

 パンの作り方を探していて出会ったのがYouTubeだった。

存在は知っていましたが見たことはなかったの。本やインターネットで文字を追うよりも断然わかりやすくて“こんな世界があったんだ”というのが第一印象でした

 それをきっかけに、自身の何げない日常を撮って投稿したところ、1本目で大バズり。

YouTubeは登録者が千人になると収益化できるシステムなので、2年かけてそこを目指していたのですが、開設から2か月を過ぎたころに、どんどん増えていて、毎日がびっくりの連続でした

 とはいえあくまでも年金が収入のメイン。3歳年上の夫も5年前に身体を壊して仕事を辞めたので、夫が15万円、pokkomaさんが9万円の年金にYouTubeの収益を合わせた約25万円が、月のおおよその収入だ。

年金暮らしになってからは、働いていたころと同じ生活水準の暮らしはできないぞと思って、見直しを決めました。お金の問題以外にも、数年前に亡くなった義母の空き家整理で体力、気力が削られたので、生活をサイズダウンするきっかけになりました

 子どもたちに同じ経験をさせまいと、まず取りかかったのが自宅の引っ越しだった。

小さな家に引っ越すことで維持費や固定資産税を減らしました。さらに身の回りの断捨離と片づけも進めて。2台あった車を1台にして、残す車を軽自動車にかえたら税金と維持費もかなり激減。スマホも大手キャリアから格安スマホにかえたのですが、家にいて仕事もしていなかったので十分こと足りています

 大小さまざまな出費の見直しや節約の積み重ねで少しずつ身の丈に合わせていった。しかし、年金暮らしへの不安は常につきまとっていた。

この世界もまだまだ捨てたもんじゃない

「以前、万が一、夫に何かあったときを想定して、年金の受給額を計算したことがあるんです。すると、収入が半分くらいになるので、どうしようと不安になって……。でも、亡くなった母の言葉を思い出して。“ないなら、ないなりの暮らしをすればいい”って。

 ひとりになったら今より小さな家に引っ越せばいいし、家賃と光熱費に半分取られても残り半分あれば食べていくには十分だなと。この春、夫婦で再就職が決まったことで金銭面ではプラスになりますし、身体を動かしているほうが元気でいられて結果として節約にもなると思っています

 悩むばかりでなく“もしも”を想定して前向きに考えている。ただ、お金のことで夫と険悪なムードになったことも少なからずあった。

精神的にきつくなって“こんなふうになったのはあなたのせい”“あなたがもっとしっかりしていれば”と責めたことも。でも、気持ちを切り替えられたのは、これもYouTubeがきっかけ。不幸な暮らしを発信する“不幸系チャンネル”があるのですが、不平不満が多くて見ていてしんどくなるんです(笑)。“私も夫に対して同じことしてるやん”とハッとして

 それからは気持ちが変わって、節約もゲーム感覚で楽しいと思えるようになったそう。

私たちの再就職が決まったのはほぼ同時。体調が回復した夫がシニア向けの就職サイトに登録していたら、条件にピッタリの仕事が見つかって。自分より年上の先輩方がたくさんいる職場で、短時間ですが週に5日、すごく楽しそうに働いています

 一方、pokkomaさんは週に2回、保育士の仕事を始めたばかりだ。

人とのご縁があって紹介されたのですが、話をもらったときは年齢的にムリだと思って諦めていたんです。でも、そこは定年が70歳、希望があれば75歳まで働けて、週に数回の短時間勤務でもOKな職場で。恵まれた環境です

 再就職を通して、“諦めない”ことの大切さを実感した。

スキルや経験があっても年齢的にダメだと思い、自分のほうから遮断して諦めていました。でも、今は自分からアンテナを張っていれば、できる仕事があることにも気づけて。この世界もまだまだ捨てたもんじゃないですね(笑)

 通勤は自転車で往復で30分。帰宅すると「プールでひと泳ぎしたような疲れや筋肉痛がありますが、自分のリハビリにもなっています」とうれしそう。ただ、多少収入が増えて暮らしにゆとりが生まれても元の生活レベルに戻すつもりはない、とキッパリ。

食事の固定観念を捨てた

何年もかけて生活をミニマムにしたので。今までの反省も込めて、2人とも給料は大事に使っていくつもりです

 というのも、かつては食費だけで月に10万円はかけていたのだとか。

外食も多かったですし、子どもたちが帰ってくるたびにごちそうをたくさん作るのが常で(笑)。今はそれをやめて買い物の回数も減らし、加えて食事の固定観念を捨てて一汁一菜でもいいと思えるようになってから、月に5万円台に抑えられています。働いていたころは散財しがちだった美容費や被服費も、ほとんどかけていませんし、今後もそのつもりです

 これからは旅など「経験」にお金をかけたいと話す。

お給料をちょっとずつ貯めて海外にいる友達に会いに行ったり、しばらく中断していた西国参りに夫と一緒に出かけられるといいなぁと

 昔は“私ばっかりしんどい思いをしている”と夫に不満を抱き、50代のころは別居していたというpokkomaさん。しかし、その関係性はいつしか変わっていった。

暮らしを小さくして目線が変わったら、誰かと比較することもなくなったんです。いまでは“あなただったから、私が好きなことをいっぱいできた”と感謝しています

取材・文/荒木睦美 

pokkomaさん YouTubeチャンネル「pokkoma life」運営者、主婦。何げない日常のひとコマを投稿。現在のチャンネル登録者数は3.1万人。著書に『60歳を過ぎてから見つけるちいさな暮らしの幸せのヒント』(学研プラス)。

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