クレープに「年間100万円以上使う」50歳男性を直撃。27年間勤めた仕事を辞め、クレープ屋を目指すも「400万円一括で振り込んだ業者が倒産」

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2025年05月31日 09:30  日刊SPA!

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オリジナルのエプロンと帽子でクレープを焼くゆたかさん
近年クレープ人気が再来していて、実は出店数が増加傾向にある。最近のクレープは、パリパリの生地そのものを味わったり、ホイップクリームや果物にこだわりを持っていたりと、従来のものと比べてかなり個性豊かなクレープに人気が高まっている。もちろん“映え”るわけで、有名店ともなれば行列を覚悟するべきだろう。
ハマるのはなにも若者だけにとどまらない。今回インタビューしたのは、4年前に生まれて初めて食べたクレープに魅せられ、クレープ屋を開業するに至った50代の男性だ。

2025年4月15日に放送された『マツコの知らない世界』(TBS系)に出演した大阪府在住のゆたかさん(50歳)は、クレープを年間100軒以上食べ歩く“クレープマニア”だ。ハマりにハマった結果、27年間勤めていた職場(警察官)を退職し、自身の店「ゆたかなクレープ (yutaka_na_crepe)」開業に乗り出した。ところが、夢を実現して順風満帆……とはいかず、さまざまなトラブルに巻き込まれたそうだ。いったいどんなことがあったのか。

◆“とある理由”でヒマになり、クレープにハマる

−−クレープにハマったきっかけを教えてください。

ゆたか:結婚して子供が生まれた時に元嫁さんから、グルメやジョギングといった趣味は全部やめさせられてたんです。掃除も洗濯も頑張ってやっていたにもかかわらず、4年前に原因はわからんのですけど、急に喋らんようになってしまったんです。

−−急に喋らなくなったなんて、怖すぎますね。原因は今も分からないんですか?

ゆたか:僕は酒も不倫もギャンブルもしないし、喧嘩もしない。離婚調停でどういう原因か教えてほしいって言ったんですけど、答えをくれませんでした。ずっと趣味は制限してたんですが、家庭内別居が始まり一人になってヒマだった時、YouTubeを見ていたらキッチンカーでクレープを売っている動画を見て食べてみたくなったんです。元々甘いものは好きだったんですが、僕が「はじまりのクレープ」と呼んでるライオンパーラーのクレープを食べたら、美味しくて接客も素晴らしくて、ハマってしまいました。

◆クレープに「年間100万円以上は使う」

−−愛知県と大阪府で年間100軒ほどのクレープを食べ歩いているということですが、きっかけもあったのでしょうか?

ゆたか:YouTubeをやっているキッチンカーのクレープ屋さんが愛知にあって。お花のクレープがあまりにも可愛くて「食べてみたい!」と思っていたら、大阪のキッチンカーをしている人が知り合いだったので紹介してもらいDMしたんです。その方が食べ歩くのも好きな方で、一緒にクレープ店を回るほどの仲になりました。

−−大阪から愛知は、近くはないと思いますが、年間でどれぐらいお金を使っていますか?

ゆたか:愛知は“第二の故郷”というほど通っていますが、どれぐらいお金を使ったんでしょう……。計算したことはないけど、限定もののクレープが好きなので、だいたい1つで1000円以上するし……。交通費もかかるんで、年間100万円以上は使ってるんじゃないですか。でも僕は、クレープにしかお金を使わないんですよ。遠征でクレープを食べる日は3食クレープしか食べない。ご飯も食べない。最後の締めにコーヒーを飲むのがルーティンになってます。なぜなら途中でコーヒーを飲むと、クレープの味が変わってしまうんでね。

−−食べるのは3食とも甘いクレープですか?

ゆたか:惣菜系のクレープは食べないので、朝昼晩と甘いクレープです。

−−クレープを食べる時のこだわりはありますか?

ゆたか:絶対にスプーンで食べることです。カバンにはマイスプーンが入っていて、果物はどこの産地か、ホイップクリームは?……と想像しながらチビチビ食べています。そして包装紙は破らず、キレイに剥がします。包装紙はお店の看板だと思ってるので、食後に眺めるのが好きなんです。生地の気泡が出るところと、出ないところなど、いろんなデザインの形があるのが楽しくて、クリアファイルに入れて保管しているほどです。初めて行ったクレープ屋さんでは必ず持って帰るので、300枚ぐらいはあるんじゃないかな。

◆400万円振り込んだのに、車が来ない…

−−クレープ屋さんを始めるため、キッチンカーを購入したそうですが、トラブルに巻き込まれたとのことで……。何があったんですか?

ゆたか:知り合いから紹介してもらった業者から「4ヶ月後に納品するなら、すぐに400万円一括で振り込んで契約してください」って言われたんですよ。本来なら何社か見積もりをもらったり、分割で払ったりするべきだったんですが、退職してすぐに開業したかった事情もあり、すぐ振り込んでしまった。それから少し経って、車屋の社長からかかってきた電話に出たら、「倒産しちゃいました」と笑いながら言うんですよ。

−−えええー!笑いながら、ひどすぎますね。

ゆたか:そうなんです、笑いごとじゃないですよ!「車はどうなるんですか?」って聞いたら、なんとまだ受注もされていなかったんです。なのに「あと100万円出してくれたらなんとかします」って言われて。「いやいや、なんであと100万円出ださなあかんのですか?」って聞いたら、「実は自己破産しててもう全部差し押さえられてる」と……。僕の支払ってたお金の一部は、借金の返済に回してしまったみたいなんです。

キッチンカーというのは、受注してから、後ろ部分のシェルターの箱を作るんですが、潰れた業者から引き継いだ車屋曰く「箱はできます」とのこと。問い合わせてみると『箱はあるけど、組み立ててない。シンクや冷蔵庫のような什器もない。だから、あと100万円出せば作れます』と言われたんですが、もうお金を使い果たしてるし、車もないんじゃどうしようもないですよね。

◆やむなく別のキッチンカーを購入するも…

−−潰れた業者を紹介してくれた人は、どんな反応でしたか?

ゆたか:まさかそんなことになってるとは思わず、その人も責任を感じているようです。それ以降、いろいろ手を尽くしてくれて、福岡でキッチンカーを売りたい人が見つかりました。値引きして100万円ちょいだったので「今すぐ使えればいいかな」と思って飛びつきました。

−−再度キッチンカーを買ったんですか?

ゆたか:はい。福岡から買ったキッチンカーに乗って帰ってきたんですが、また問題が発生しました。その車の動力源がガソリンではなくて、プロパンガス(LPガス)だったんです。高速道路にはプロパンガスのスタンドがなくて……。それで一旦広島で高速を降りて、24時間やっているスタンドを探したけど見当たらず……。神戸でも降りて、探したところ、ようやく見つかりました。

−−購入したキッチンカーがプロパンガス車というのは、ご存じだったんですか?

ゆたか:聞いていたんですけど、プロパンガスのキッチンカーもあるので、ガソリンスタンドで普通に入れられると思ってたんです。なんとか大阪まで戻ってきて、名義変更して車検通そうと思ったらオイル漏れなどの故障があって……。修理するのに追加で50万円かかりましたった。今はペンキを塗り直したり、中身の向きを修正したりしている状態です。

◆オープンに向け、絶賛準備中

−−話を要約すると、潰れた業者車屋さんに払った400万円は返ってこないし、100数万円で買ったキッチンカーの修理に、50万円かかったってことですか?

ゆたか:結局アルファード買えるぐらいの値段になってしまいました(苦笑)。

−−キッチンカーの場合レンタルもできるかと思います。利用されなかったということは、ご自身で所有しておきたかったのでしょうか?

ゆたか:警察を辞めてすぐ開業したくて焦っていたもので…… 。とはいえ、キッチンカーの整備を進めている間に、知人の店で間借り営業をすることになりまして。 考え方を変えれば、新しい出会いによってクレープの改善点も見えてきました。もともとクレープの練習台として家で焼く練習はしていたんですが、間借り営業で実践することで、さらに焼き方のコツが分かるようになりました。

−−修理から戻ってきたら、いよいよ営業開始ですね。最後に今後の夢を教えてください。

ゆたか:キッチンカーは、いかんせん規制が多くて、こだわることがあまりできないんですよ。夏には車内温度が50度近くになるので、品質管理のためホイップや果物も冷凍しておかないといけませんし 場所によってガスが使えないとか、いろいろな縛りがあります。だから、早ければ1〜2年後には、1階が店舗で2階が住居スペースのような場所がほしいですね。イートインできて、おしゃべりしながら、クレープとパフェが出せるお店を大阪の箕面あたりにできたらと思います。

<取材・文/谷亜ヒロコ>

【谷亜ヒロコ】
放送作家を経てフリーライター&作詞家として活動中。好きなテレビ番組は「ザ・ノンフィクション」、好きなラジオはTBSラジオ、得意料理は春巻き。得意領域はカルチャー、音楽、芸能、住宅、美容など。Twitter:@rokohiroko

このニュースに関するつぶやき

  • 本来の元祖クレープ、そば粉原料の塩味のガレットは、流行らないだろうね。 日本でクレープとしているのは菓子だし(笑
    • イイネ!16
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