
東海エリアのとある繁殖場に、重篤な病気を患ったシベリアンハスキーの元繁殖犬がいました。子宮蓄膿症で陰部から膿が出るほどの重篤な状況でしたが、当のブリーダーには適切な医療ケアを施す意思はなく、放置していました。
元繁殖犬の存在を知った保護団体、アニマルフォスターペアレンツではブリーダーに掛け合って緊急保護することにしました。
「繁殖犬の宿命」とも言える子宮蓄膿症
子宮蓄膿症は避妊手術を受けておらず、繁殖適齢期以降でよく発症する病気です。
原因は、細菌が子宮内に入り込むことが多く、膿が出たり、膿による急激な体重増加などの症状があり、治療が遅れると細菌の毒素でショック症状を起こし、子宮破裂になることも。最悪の場合は命にも関わる恐ろしい病気です。
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ある意味で、「繁殖犬の宿命」とも言える病気かもしれませんが、そのまま放っておくブリーダーの神経はどうなっているのでしょうか。強い憤りを覚えるばかりですが、保護した団体側は「まずは手術・治療を最優先に」と、こ保護後すぐに動物病院へと連れて行きました。
また、ここでワンコに「もえちゃん」という新しい名前をつけてあげ、子宮蓄膿症を乗り越え、一緒に幸せを目指すことを誓いました。
「合併症などもなく命に影響するものではない」
動物病院での診断では「子宮や卵巣を摘出すれば完治する」というものでした。「合併症などもなく、命に影響するものではない」とも。
この診断結果を聞き「本当に良かった」と胸をなで下ろす団体メンバー。もえちゃんにもこの報告をしてあげました。「良かったね。手術さえすれば大丈夫みたいよ」と優しく声をかけてあげると、もえちゃんもうれしそうにグイグイと顔を押し付けて甘えてきました。
その日はいったん保護施設へと戻りしばしお散歩。繁殖場での長い間、お日様を浴びることがなかったのか、外の日差しを前にまぶしそうにするもえちゃんでしたが、注がれるその光は、これからのもえちゃんの幸せを示しているようでした。
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手術を乗り越え笑顔を浮かべる時間が多くなった
後に実施した手術は大成功。もえちゃんは手術の前後も暴れたり、ワガママを言ったりすることなく、がんばって乗り越えてくれました。そして、術後のもえちゃんはさらに笑顔を浮かべる時間が多くなり、心身ともに元気になってくれました。
以降、赤い糸で結ばれた「本当の家族」との出会いを目指し、団体主催の譲渡会などにも積極的に参加。その人懐っこさ、穏やかさですっかり人気者となっています。もえちゃんにとっての光あふれる第二の犬生は、そう遠くない時期に訪れることでしょう。
(まいどなニュース特約・松田 義人)
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