オンラインの採用面接開始を前に、説明を聞く伊藤忠商事の社員ら=1日午前、東京都港区 2026年春卒業予定の大学生らの就職活動で、政府が面接などの採用選考の解禁日と定めた1日を迎えた。強制力はないため、実際には面接を前倒しで実施する企業は多く、すでに約8割の学生が内定を得ているとの調査もある。人手不足を背景とした学生の「売り手市場」は続いており、日程ルールの形骸化が進んでいる。
伊藤忠商事は午前8時すぎからオンラインで1次面接を開始した。採用責任者は「インターンシップなどを通じて学生と相互理解を深めているので、1日から選考を始めても他社に劣後しない形で準備ができている」と強調した。
NECも「地方の学生に参加してもらいやすい」との理由から、オンラインによる面接を2日に始める。通年採用している日立製作所や富士通もルールに沿って今月から順次実施する方針だ。
一方で、解禁日前から選考活動を始める企業も多い。インディードリクルートパートナーズによると、5月15日時点の大学生の内定率は79.9%。前年同時期に比べ1.8ポイント上昇し、日程ルールはなおざりになっている。
ある大手金融機関の担当者は「優秀な学生ほど就職活動の早期化傾向は顕著。競合他社への優位性の観点から一部前倒しして選考を実施している」と話す。ただ、懸念材料として「早期化は長期化にもつながり、コストの増加や内定辞退の可能性が高まる」と指摘した。