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交流サイト(SNS)でトランスジェンダーだと暴露する「アウティング」に当たる投稿をされたとして、台湾出身の芥川賞作家、李琴峰(りことみ)さん(35)が5日、村松裕美・甲府市議(51)に550万円の損害賠償と投稿の削除を求める訴訟を東京地裁に起こした。性別変更は極めて高度なプライバシー情報で、暴露されれば人間関係や社会生活が崩壊する恐れがあり、プライバシー権と人格権が侵害されたと主張している。
提訴後の記者会見で李さんは「投稿でトランスジェンダーだと周囲が知っているかもしれないと不安や恐怖を感じるようになった。同じような被害が少しでも減るようにしなければならないと思って、裁判を起こした」と話した。
李さんは法律上の性別を女性に変更後、2013年に来日。女性として生活し、性別変更したことは周囲には伝わらないように注意を払ってきた。
李さん側によると、24年に入り、村松市議がSNSで李さんについて「身体が男性」などと投稿していることに気づいた。抗議すると削除されたが、市議は別の人物のSNSに載った李さんの性別変更前の写真を投稿。李さんは心身の不調に陥ったという。
村松市議は取材に「アウティングのつもりはなかった。訴訟への対応は弁護士と相談する」とコメントした。
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李さんは21年に「彼岸花が咲く島」で芥川賞を受賞し、その後、SNSなどに性別に関する投稿があふれるようになった。24年11月に自身のホームページで、トランスジェンダーであることを公表し、「カミングアウトするしかありませんでした」と記した。
「アウティング」を巡っては、同性愛者であることを友人に暴露され、転落死した一橋大法科大学院の男子学生の遺族が大学に対して起こした訴訟で、東京高裁が20年に「許されない行為であることは明らか」と指摘した。【安元久美子】
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