「アベノマスク」の契約を巡り、文書不開示決定を取り消した大阪地裁判決を受け、「勝訴」などと書かれた紙を掲げる原告の上脇博之教授(中央)ら=5日午後、大阪市北区 新型コロナウイルス対策で配布された布マスク「アベノマスク」の購入契約に関する情報公開を巡り、神戸学院大の上脇博之教授が文書の不開示決定の取り消しを求めた訴訟の判決が5日、大阪地裁であった。徳地淳裁判長は決定の大半を違法として取り消し、国に11万円の損害賠償を命じた。
徳地裁判長は、契約の経緯を記録した文書の作成について、「情報共有や上司への報告のため、当時の繁忙状況を考慮してもある程度は行われたと考える方が自然だ」と指摘。国側は「作成していない」などと主張したが、保存期間1年未満の電子メールや簡易な報告書などが不開示決定時も一部存在していたと認定した。
業者とやりとりしたメールなども「全て削除したとは考えがたい」とし、不開示決定の大半を違法と判断。国家賠償法上も違法とし、慰謝料などの支払いを命じた。
布マスクは安倍晋三首相(当時)が2020年4月、全世帯への配布を表明し、アベノマスクと呼ばれた。政府は高齢者施設や小中学校などに配る分を含め、17業者と32件の随意契約を結び、約3億1800万枚を計約443億円で調達した。
上脇氏は厚生労働省と文部科学省に、やりとりの記録などを公開するよう請求したが、見積書や契約書など結果を示す文書を除き、「保有していない」として不開示になっていた。
アベノマスクを巡っては、業者に発注した際の単価と枚数についても国に開示を命じた同地裁判決が確定している。両省は「判決内容を十分に検討し、関係省庁と協議して適切に対応したい」とコメントした。