左は太っていた30代、右はダイエット後の44歳頃メイク講師の池田曜央子(いけだ ようこ・47歳)です。
私は「顔の比率を描き変える骨格補正メイク専門家」なのですが、40代でダイエットに成功した経験から、メイクレッスンの生徒さんにもよくダイエットについての質問をいただきます。
私がダイエットを開始したのは42歳の時(身長164cm・体重67kg)。38歳の時に愛犬の事故死で鬱状態となり、現実逃避で引きこもり&糖質依存症に。3か月で15kg増の激太りを経験し、当時は知らない子供に「ブヨブヨのおばさん」と言われたり、行く先々で外見差別を受けたこともありました。その後、42歳で一念発起。1年かけて5kg減したところから、ゆるめの糖質制限に切り替えて3ヶ月で12kg減、累計17kgのダイエットに成功しました。
あらゆるダイエット法で失敗と成功を繰り返してきた体験から、よくいただく質問にお答えしていきたいと思います。
◆Q1:甘い物を食べたくなった時はどうしていましたか?
A:低GIなら甘いものもOK
ダイエットって聞くと、「まず甘いものをやめなきゃ」と思うじゃないですか。でも甘い物はなんでも太る、というわけじゃないんです。気を付けるべきは血糖値。血糖値を急激に上げないもの、つまり低GIのおやつを選べばいいのです。
私がダイエット中に食べていたお気に入りの低GIおやつは以下の3つ。
・ハイカカオチョコ:カカオ72%のチョコは甘さもしっかり(86%は苦手)
・ナッツのマヌカハニー和え:ただ和えるだけ。すごい甘さなのに意外と低GI。
・生クリーム鬼盛りの寒天ゼリー:作るのがちょっと手間だけど満足度大。
どうでしょうか。ダイエット期間でもこんなに甘いものを食べていいなんて、ちょっとホッとしませんか?
※GI(Glycemic Index/グライセミックインデックス)とは、食品を摂取した後の血糖値の上昇度を示す指標。食品のGI値を調べるには、シドニー大学のデータベース(英語)が有名ですが、日本語なら信頼できるメーカーやクリニックのHPなどを参考に。
◆Q2:お米やパンはどうしてましたか?
A:お米はあきらめて、低糖質パンに
お米が大好きな私にとってこれが最大の難関でした。なんとか置き替えられないかといろいろ模索したのですが、お米の置き替えは難しく私は断念しました。
でもパンについては低糖質パンが市販されていますし、私は原材料を正確に把握したかったので大豆粉で手作りしていました。お米はダメだけどパンなら食べられる! 糖質制限でもしっかりと炭水化物への欲求を満たすことができました。
一般には「ダイエットにはパンよりお米のほうがいい」と言われているようです。糖質量を比べると、白米1杯(150g)=糖質約53g、玄米1杯(150g)=糖質約51g、食パン6枚切り2枚(120g)=糖質約55g(日本食品標準成分表・八訂)。
ですが、低糖質パンなら市販のものでも食パン1枚=糖質5.5g(Pasco低糖質ブランパン)ぐらいのものもザラにあります。あとは米かパンかは個人の好みかと思います。
それでもたまにお米が頭をよぎる時もあるんですよね。そんな時はこう考えて乗り切りました。「そもそもさぁ、人類の歴史が30万年なのに、日本に稲作が伝わってからまだたったの3千年なんだよね。ってことはお米を食べ始めたのはつい最近ってことなんだよね」。そう考えると、なんだか冷静な心を取り戻すことができました。
◆Q3:夜におなかがすいたらどうしてますか?
A:温かいスープにどっさり糸寒天
寝る前の固形物は翌日の体重への影響が大きいことが日々の記録でわかっていたので、私の定番は糸寒天をどっさり入れた作り置きスープ。糸寒天はかみごたえがあり満足度が高い上に、原材料が海藻なので超ヘルシー。しかも乾燥したままスープに入れるだけなので手間いらず。そこにオリーブオイルをたらしたり、タバスコで味変したり、それでももの足りない時は豆腐を追加したりなど、いろいろカスタマイズして楽しんでいました。
◆Q4:どうやって禁酒しましたか?
A:アプリに記録し達成したらごほうびを
お酒は糖質が低くても筋肉を分解する働きがあるので、ダイエット中は控えた方が結果が早いと実感しています。ちなみに私は赤ワインが大好きなのですが、1日の宅飲み代を計算すると500円くらいでした(1本1,500円のワインを3日で飲む)。なので「飲まなかった日はお小遣い500円」に設定。そうすると月間15,000円、つまり年間180,000円のお小遣いになります。数字で明確にすることによって、禁酒するメリットをしっかりと理解することができます。
ちなみに私は禁酒で浮いたお金で、憧れだったジミーチュウのハイヒールを買いました。ヒールを美しく履くためには姿勢にも気を使うし、体幹を鍛える必要もあります。禁酒で得られるメリットが、美しいヒールと筋力なんて「お酒やめるって最高すぎ!」このように禁酒のメリットが飲酒の快楽を超えるように設定するのです。もちろんお祝い事やたまにある会食などではお酒も解禁。出来るだけ低糖質なものにするとか、お水と交互に飲むとかちょっとしたマイルールはありますが、あまりストイックになりすぎずに楽しんでいます。
◆Q5:運動は何をしていましたか?
A:特別な運動はせず、ふだんの生活に負荷を
今度こそダイエットがんばるぞ! と勢いでスポーツクラブに入会したものの、結局ほとんど行かずに月会費だけ払い続けていた……、そんな経験ありませんか? ちなみに私は何度もあります笑。お金のムダだって毎回分かっているんだけど、でも今度こそは! って懲りもせずに何度も同じ失敗を繰り返して来ました。
モチベーションって血糖値と似てるなって思うんですが、両方とも「急激に上がると急激に下がる」ってところがまさに同じ。なので私のように運動習慣のない人は、いきなり運動しようなんて大それたこと考えない方がいい! それよりもまずは日常生活にちょっと負荷をかけるくらいで取り組んでみるのがおすすめです。
例えば姿勢よく早足で歩く、床掃除はひざまずいて雑巾で、窓や鏡をこまめに磨く、テレビを見てる時にダンベル上下など。今までの生活を変えずにそこにシレッと取り入れる。そもそもモチベーションをあげていないので、落ちることもなく続けられるのです。(すでに運動習慣のある人はぜひそのまま続けてくださいね! 筋肉量が多い方が痩せやすいし健康にもいいのは明確ですから)
◆Q6:食事のメニューで気つけていたことはありますか?
A:糖質量とGI値に気をつければ何を食べてもOK
私の実践したのは「ゆるめの糖質制限」なので、糖質量とGI値に気をつければ何を食べてもOKでした。大好きなお肉も揚げ物もチーズも全部OKですし、こんなに食べていいの? ってくらいお腹いっぱい食べてるのに結果がちゃんと出るので、このダイエット法はせっかちな私にはとても合っていました。
ちなみにガチの糖質制限だとNGが一気に増えます。例えばニンジンやゴボウなどの根菜類もNG、揚げ物の衣レベルの小麦粉やパン粉もNG、ケチャップやオイスターソースなどの調味料もNGです。もちろん減量のスピードは早いのですが、見ているとリバウンドする人が多いと感じています。なので糖質制限に取り組むなら私的には「ゆるめの糖質制限」をおすすめしています。
◆Q7:モチベーションはどうやって維持したのですか?
A:大事なのは、期限・計画・記録の3つ!
モチベーションはムダに上げないようにフラットに保ちつつ、まず最初に「計画」を立てることが大事です。現実的かつ健康的な範囲内で目標を達成するには何ヶ月かかるのか、それを理解するところが最初の一歩。そのためには現在何キロなのか(ダイエットしたいと思っているのに、現在の体重を知らない人が多い)、目標体重は何キロなのか、1か月に減量可能範囲は何キロなのか、そのペースだと何ヶ月で目標達成できるのか。(※1ヶ月の減量目標は体重の3%〜5%が無理のない範囲と言われています)
現在地も目的地も分からない状態で、ただやみくもにダイエットを始めると失敗して当たり前なのです。今思うと私の数々の失敗も、意志が弱いことではなくただ単に無計画だったからでした。
次は「期限」を決める。私の場合はコンテスト開催日という明確な期限がありました。期限が明確であれば、またそのシバリがキツければ成功率は高いのです。なので結婚式なんてその最たるもので、成功率が90%を超えるのも納得です。「でも私はコンテストにも出ないし、結婚式の予定もないんだけど……」そんな人でも大丈夫! 例えば、フォトスタジオで家族写真を撮る、なんてのはいかがでしょうか。ここでのポイントは一人ではなく「誰かを巻き込む」ことです。ダイエットに成功しないと他の人に迷惑をかける、という責任を自ら負うのです。
最後に「記録」を残す。レコーディングダイエットって流行りましたが、日々食べたものの写真を撮り、日々体重を計って記録に残すのがめちゃくちゃ大事! そうすることで自分のことを分析できるようになるのです。例えば「なぜこの日にガツンと減ったんだろう。んー、食べ物もいつもと同じような感じだし、他の日と何か違うことをやったかなぁ…。あ、もしかして〇〇かも? じゃぁ今日も〇〇をやってみて検証してみるか!」という感じです。
記録→分析→検証→記録……を繰り返すことで「自分の痩せポイント」が分かるようになるのですが、これちょっとワクワクしてきませんか?
◆ダイエットの一番の効果は、気持ちが変わること
以上、よくいただくご質問にまとめてお答えしました。ご紹介したダイエット法は基本的にゆるめの糖質制限ですが、糖質制限の注意点としては長期間するものではなく、3か月から長くても6ヶ月が1クールという点です。取り組みたい方は期間限定・短期集中で実践して、まずは動きやすい体にするために余分な脂肪を落とすことに専念していただければと思います。
体が軽くなり動きやすくなると、体型を気にせず好きな服を選べるのはもちろんのこと、ダイエットに成功したということが自信につながり、前から興味があったことにチャレンジしてみようと行動できるようになったり。そんな前向きな気持ちの変化がダイエットの一番の効果だと思っています。
今から始めれば夏までまだ間に合います。ズボラで運動嫌い、根性もない、そんな私でもできたのできっと大丈夫! 余分な脂肪を脱ぎ捨てて、輝く健康美で自信溢れる自分にアップデートしてまいりましょう。
<文・写真/池田曜央子>
【池田 曜央子】
(いけだ・ようこ)メイク講師。骨格補正メイク考案。一般社団法人日本骨格バランス協会代表理事。
1977年生まれ、青山学院大学経済学部卒業。建築士だった38歳のころ、愛犬の事故死でうつ状態に陥り、糖質依存となり15kgの激太り。外見差別を受けたことをきっかけに、美容・ファッションなどを学び、メイク講師として活動を開始。輪郭と顔パーツを数値で分析、骨格や年齢による変化を補正し、好印象な美人に近づける独自の「骨格補正メイク」を考案。メイク講座やスキンケア講座などで1000名を超える女性を変身させる。43歳で-17kgのダイエットも成功させ、ミセスコンテストで特別賞受賞。著書『骨格補正メイク 顔の比率を描き変えて、一生美人!』(主婦の友社) Instagram:@ikeda.makeup ブログ