

「ナツミにはたくさん心配かけたよな……。ごめんな」「ううん、本当に良かった……」私たちは2人で抱き合って泣きました。それから数ヶ月経ったある朝のこと。出かける支度をしていたケンが言いました。「実はさ、この前……」





あれからケンが羽田キホさんと直接連絡を取り合っているという話は聞いていました。先日ケンは、彼女が読みたいと言った本を貸すため取引先近くの公園へ会いに行ったようです。そして今度の日曜、2人で出かける約束をしたそうで……。


ケンと羽田キホさんが和解できたことに、私は心から喜んでいました。ずっとケンの胸につかえていたものが取れたのであれば、本当に良かったです。しかしそれ以来ケンは、妙に彼女と距離が近いように感じるのです。本を貸してあげるためわざわざ会いに行ったり、そのうえ2人で出かける約束まで……。
ケンには「俺のせいだから」という思いもあるだろうし、彼女が不自由している部分のサポートをしてあげるのは決して悪いことじゃないはずです。けれどケンの言葉に、私はモヤモヤが隠せませんでした。
【第7話】へ続く。
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