限定公開( 19 )
モーターで自走できるペダル付き電動バイク「モペット」。
小回りの良さやデザイン性から若者を中心に人気を集めているが、ルールを無視した運転で「走る凶器」にもなりうる。
大阪府警は25日までに、法令に違反した状態で公道を走ると知りながら販売したなどとして、大阪市の店舗関係者ら数人を道路交通法違反(整備不良など)ほう助の疑いで逮捕した。容疑者らは客の違法な走行を黙認していた可能性があるという。
悪質な走行による事故が全国で相次いでいることから、捜査の手は運転者に限らず販売者にも及ぶ。今回の逮捕も売り手としての責任を強く求めた形だ。
「販売する側の責任も厳しく追及していく」。捜査関係者は、そう語気を強める。
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モペットはペダルが付いていることから一見、電動アシスト自転車と思われがちだ。しかし最高時速が20キロを超えるタイプは道路交通法で「原付きバイク」と同等に区分される。
法律上は原付きバイクにペダルが付いたという位置づけだ。
そのため公道を走るには運転免許証はもちろん、ナンバープレートやサイドミラーの取り付けのほか、自賠責保険の加入などが必要となる。ヘルメットの着用も義務付けられ、歩道は走れない。
モーターを使わずペダルをこいで走行しても、扱いは変わらない。
一方、20キロ以下のものは電動キックスケーターなどと同じ「特定小型原動機付き自転車(特定小型)」に分類され、一定基準を満たした車体は16歳以上なら免許なしで運転できる。
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1台十数万円程度で比較的購入しやすい。一方でルールを守らない危険な運転が各地で問題となっている。
警察庁によると、モペットによる人身事故は2023年に57件が確認され、前年の倍近くになった。
検挙数は345件で前年比の3・6倍に上った。内訳は無免許32%▽整備不良30%▽通行区分違反13%――の順に多かった。
大阪・ミナミで4月、歩いていた男子大学生がモペットにはねられて負傷する事故があった。その場から逃走した40代男性が自動車運転処罰法違反(過失運転致傷)容疑で逮捕された。
男性は無免許で酒に酔った状態でモペットを運転。車体にナンバープレートはなく、ヘルメットも着用していなかった。
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24年10月には東京都世田谷区で無免許運転のモペットが一方通行を逆走して自転車と衝突。自転車に乗っていた男性が重傷を負った。
最高速度の違いによって走行ルールが異なることから、制度の複雑さを悪用する店舗も出てきている。
大阪府警は25年1月にモペットを販売していた大阪市内の業者を不正競争防止法違反(誤認惹起(じゃっき))の疑いなどで書類送検した。この業者は「免許不要」「16歳以上なら誰でも乗れる」などと偽って販売していた。【松原隼斗、井手千夏】
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