パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長=24日、ワシントン(EPA時事) 【ワシントン時事】トランプ米政権が、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長に対する圧力を一段と強めている。トランプ大統領に追随し、経済高官も相次いで早期利下げを要求。パウエル氏の任期は来年5月だが、トランプ氏は早くも後任選び着手をにおわせる。次期議長候補を巡る観測が飛び交い、「包囲網」は狭まりつつある。
トランプ氏は25日の記者会見で、パウエル氏の後任を「3、4人から選ぶ。幸いなことに、彼はもうすぐ辞める」と話した。直後に、トランプ氏が次期議長を前倒しで発表すると米有力紙が報道。後任候補にウォーシュ元理事らの名前を挙げた。
自らも候補の一人と報じられたベセント財務長官は27日、米テレビのインタビューで、来年1月末に任期切れとなるFRB理事の退任で「空席」が生じることを踏まえ、次期議長が「恐らく10、11月」に指名されるとの見通しを示した。
トランプ氏は次期議長について「利下げを望む人物を就ける」と発言。利下げに前向きで、景気重視の「ハト派」をパウエル氏の後任に据える意向をにじませた。
「インフレはない」として、パウエル氏に利下げを求めるのはトランプ氏にとどまらない。ラトニック商務長官や、ホワイトハウスのハセット国家経済会議(NEC)委員長といった政権の経済高官も「(7月末の)次回会合で利下げしろ」(ラトニック氏)と、露骨な圧力をかける。
パウエル氏は24日の議会証言で、「残された時間でやりたいのは、強い経済と抑制されたインフレを後任に引き継ぐことだ」と語った。トランプ政権の高関税政策の影響が不透明な上、政治圧力がFRBの信認を脅かしかねない中、パウエル氏は任期を迎えるまで、困難な政策運営を余儀なくされそうだ。