なかなか羽化しないカイコの繭(まゆ)を切ってみたら……ヤバすぎる中身に反響「こんなシーンが見られるなんて!」「初めて知りました」

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2025年06月30日 20:45  ねとらぼ

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ねとらぼ

繭を切ってみたら……

 5年前や10年前……。少し前にインターネット上で話題になった投稿や動画を振り返って紹介する企画「昔のインターネット発掘!」。今回紹介するのは2021年6月にYouTubeに投稿された、なかなか羽化しないカイコの繭を切った結果です。動画は記事執筆時点で195万回以上再生されています(※本記事には虫の画像が含まれます。虫が苦手な人は閲覧注意です)。


【画像】ヤバすぎる中身


 動画を投稿したのは、スズメバチ仮面ヒロポンさん。昆虫を中心とした生き物が大好きで、採取した生き物を食べたり飼ったり観察する様子をYouTubeチャンネル「スズメバチ仮面ヒロポン(33無職)」に投稿しています。


 投稿者さんはたくさんのカイコを飼育しており、気付けば多くの幼虫が繭(まゆ)になってきた様子。カイコはシルク(絹)の元となる繭を作る昆虫で、絹糸産業、ひいては日本を支えてきたといっても過言ではない存在です。そんなカイコについて説明しつつ、羽化した成虫を見せてくれました。


日本の絹糸産業を支えてきたカイコ

 カイコにはさまざまな寄生虫や病気があるそうですが、撮影時点ですでに「カイコノウジバエ」という害虫が発生していたそうです。カイコノウジバエはカイコのエサとなる桑の葉っぱに卵を産み、葉っぱからカイコの体内に入り込み、カイコが繭になったタイミングでサナギを食い破って外に出て、サナギになる……という、厄介な存在なのだとか。


 今年はカイコノウジバエに寄生されたカイコも多かったけれど、無事に羽化したカイコも多かったとのこと。成虫はペアにして卵を産ませていて、幼虫も続々と生まれている状態なのだそうです。


 しかし次々と繭が羽化し、幼虫が生まれている中でも、まだ羽化していない繭があるとのこと。ただ成長が遅いだけなのか、寄生虫や病気にやられているのか……その原因を探るため、まだ羽化していない繭をハサミで切ってみることにしたようです。


 カイコは繭から外に出る時、硬い絹糸を溶かす溶解液のようなものを出して穴を開け、外に出てくるそうです。つまり穴が開いていない繭はまだ出てきていないか、もしくは中で死んでしまっている状態と考えられます。まだ出てきていない繭であっても、中のサナギを傷つけなければそのまま羽化してくれるため、繭を切ってしまっても特に問題ないのだとか。


慎重に繭を開けていきます

 ここまで説明したところで、早速繭を開ける“繭ガチャ”をしていくことに。とはいえ繭を切らなくても、振った感じで生きているか死んでいるかのアタリを付けることはできるそうです。


1つ目の繭を開けてみると……

 1つ目の繭を開けてみると、中には黒くて乾燥した何かが2つ入っていました。1つはカイコだったもの、もう1つは先述した寄生虫・カイコノウジバエのサナギなのだそうです。残念ながらこの繭はカイコノウジバエに寄生され、命を落としてしまっていました。


 続く2つ目の繭も、カイコノウジバエに寄生されていました。投稿者さん宅には大量のカイコがいて、エサとなる桑の葉が大量に必要だったそうです。取ってきた葉っぱがあまりにも大量で洗う暇もなくカイコに与えたため、カイコノウジバエが発生してしまったものと考えられます。


 投稿者さんによると、桑の葉はしっかりと水で洗うか、濡れたタオルなどでこすれば、カイコノウジバエの卵を落とせるのだとか。カイコを飼育するときは、桑の葉を洗浄するひと手間を挟んだほうがよさそうですね。


 3つ目の繭は蛹化不全(ようかふぜん)を起こし、サナギになれずに幼虫のまま死んでしまっていました。4つ目の繭にはこれまでとは違い明るい茶色で、丸々と太ったサナギの姿が。無事に生きていることが確認できたため、このサナギは繭に戻しておくことに。よかった!


 投稿者さんのこれまでの経験上、繭を振ってカラカラと乾いた音がしたら中で寄生されているか死んでいる可能性が高く、2つの乾いた音がしたら寄生されている可能性が高い、とのこと。そう話しながら次々と繭を開けていくと、残念なことに多くの繭がカイコノウジバエに寄生されていることが分かりました。


不思議な繭を発見

 カイコノウジバエの多さにがっかりしつつ、さらに繭を開けてみると、なんとまだ脱出していない状態の成虫が出てきました。出てきた成虫は遺伝的なものなのか、繭を作るときに失敗したのか不明ですが鱗粉がはげていて、羽根が短いという不思議な形質を持っていたのです。


 カイコは病気に強く、いい繭を作るように品種改良が重ねられてきた昆虫です。しかし自宅で繁殖して代を重ねると強い遺伝子が現れづらくなるのか、病気などに弱い個体が生まれてきてしまう可能性が考えられます。


 その後も成虫になっているにも関わらず、外に出てこられない状態だった繭が相次ぎます。原因は不明ではあるものの、これだけ続いたため投稿者さんは「遺伝的な要因な気がする」とコメント。とはいえ繁殖させる分には問題なさそうなこと、またこのカイコたちの子孫がどのような形質になるのか気になることから、子孫を残してもらうことに。


 引き続き繭を開けていくと、成虫になっているけれど、外に出られないまま死んでしまったカイコの姿がありました。このカイコの亡骸は肉食の昆虫である、コカブトムシにあげるそうです。


 最後の繭を開けてみると、こちらもカイコノウジバエに寄生されていました。自分がカイコノウジバエの卵がたくさんついた葉っぱを持ってきてしまったんだろうな……と落ち込みつつ、繭から出てきたカイコノウジバエのサナギをまとめてみると、10個もありました。このサナギはカエルのいる水槽に入れておき、羽化したらカエルに食べてもらう予定とのことです。


 まだまだ開けていない繭があるので、まだまだカイコノウジバエが出てくるんだろうな……と、うんざりした様子の投稿者さんなのでした。


一筋縄ではいかない、カイコという生き物

 カイコはよりよい絹糸が取れるよう、人間が野生昆虫であるクワコというガの一種を長い時間をかけて改良してきた昆虫です。人間に改良された結果、カイコは空を飛べなくなり、体が真っ白になり、いい糸を出すようになりました。


 実は私たちが利用している絹糸などの製品は、サナギが出てくる前の繭を丸ごとゆでて作られています。また羽化して成虫となっても口が退化しているため、何も食べることなく、子孫だけを残して一週間ほどで死んでいくのだとか……。


 シルクは衣料品や化粧品などに使われているため、多くの人が知らず知らずのうちにカイコのお世話になっていることでしょう。カイコというその一生は儚くとも、世界中の産業を支えた偉大な生き物。感謝の気持ちをささげつつ、一度飼育してみては、と提案する投稿者さんなのでした。


「カイコかわいすぎる」「カイコ様は美しい」の声

 動画には、「繭から人差し指によじよじして登ってくるカイコかわいすぎる……」「幼虫とか虫苦手だけど、カイコ様は美しい……」「無事に羽化することってすごいことなんだなあ……」「サナギになってから無事に羽化出来るのって当たり前じゃないのね…… 繭を割って成虫が出てくるとなんか心にくるものがある」「触るのは苦手だけど、見てるだけだったら蚕蛾って可愛いよ」「成虫になったのに繭からでてこれなかった子、まだ生きていたの感動しちゃいました…こんなシーンが見られるなんて…!」「寄生虫だからって、ハエも生きてるんだよね〜色んな生き方があって面白い」「蛹になれない子もいるんだね、初めて知りました」といったコメントが寄せられています。


 スズメバチ仮面ヒロポンさんの活動の様子は、YouTubeチャンネル「スズメバチ仮面ヒロポン(33無職)」とX(@philopon_vespa)に投稿されています。


画像提供:YouTubeチャンネル「スズメバチ仮面ヒロポン(33無職)」




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