「給付」と「減税」参議院選挙の結果次第ではどちらも行われない可能性も? 各党が語らない物価高対策の“デメリット”とは【edge23】

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2025年07月05日 06:01  TBS NEWS DIG

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3日に公示された参議院選挙。与党は「給付」、野党は「消費税減税や廃止」を主張しているが、実は結果によっては両方とも実現しない可能性がある。各党が語らない物価高対策の「デメリット」も含め、参院選の争点を深掘りする。

【写真で見る】「給付」「消費税減税」各党の主張は?

「給付」vs「消費税減税」の構図 結果次第では“何も実現しない”可能性も

今回の選挙は少数与党の中で行われるため、事実上の「政権選択選挙」とも言われている。与党が過半数を維持できるかどうかのラインは「50議席」。この数字が石破政権の命運を左右する。

選挙戦の最大の争点は物価高対策だ。与党は「給付」を主張し、野党側は「消費税減税」や「消費税廃止」を訴えている。しかし、こうした対策が必ず実現するとは限らない。

もし与党が今回の参院選で負ければ(過半数をわりこめば)、補正予算案を成立させるのが難しくなる。与党の主張する給付金政策を実現するには、秋の臨時国会で補正予算案を通す必要があるが、すでに衆議院でも少数与党の状況で、それに加えて参院でも負ければ、野党の協力なしには予算案を通せない。しかし、消費税減税を主張する野党が、与党の給付金政策に賛成するとは考えにくい。

一方、野党側も参院選で勝った(過半数をとった)としても、消費税減税の実現は容易ではない。野党間でも消費税減税の方針は統一されておらず、立憲民主党やれいわ新選組は「給付も行う」と主張する一方、減税の内容も「時限的に減税」「消費税廃止」など、立場が分かれている。こうした状況では、野党が勝ったとしても、各党がまとまりきらず、法案として通らない可能性がある。消費税減税が、参院選の「アピール」にしかなっていないという指摘もある。

つまり、各党がそれぞれの主張を譲らず、協力し合えなければ、選挙の結果に関わらず、給付も消費税減税も実現しない事態すら起こりうるのだ。

各党が語らない物価高対策の「デメリット」

物価高対策として与野党が掲げる「給付」と「消費税減税」。しかし、それぞれにはあまり語られていないデメリットがある。

給付金のデメリットとしては、コロナ禍の10万円給付と同様に、多くが貯蓄に回ってしまい、経済活性化につながらない可能性がある。また、石破総理が懸念するように、現在の経済状況は、コロナ禍のような深刻な不況ではなく、物価高の中でも過去最高益を出している企業もある。そうした中で、経済成長の恩恵を受けている人にまで給付を行う必要があるのかという疑問も残る。

一方、消費税減税にも課題がある。物価高の中で景気を刺激すれば、需要が増えてさらなる物価高を招く恐れがある。また、減税によって国債の信用度が下がれば金利が上昇し、住宅ローンなども上がって、結局は国民の負担増になりかねない。さらに、消費税率を変更するためのシステム改修にも時間がかかり、すぐには実施できない。人によっては「そんなのすぐにできる」と言う人もいるが、システムのメーカーに実際に取材してみると、半年から1年程度の時間がかかるとの声が聞こえた。

また、消費税減税を「時限的」とする野党の主張にも疑問が残る。政府はデフレ脱却を掲げ、物価は既に上昇局面にある。物価が上がっていくことが予想される中、一度実施した減税を、元に戻すことは政治的に難しい。減税は一度やったら「やめるタイミング」が難しいという見方もあるのだ。

税金というのは基本的に国の財政の基盤となるものでもある。税を一つだけいじるというのは、国の財政のバランスが崩れてきてしまうという視点も忘れてはならない。

参院選の結果が与党の政権運営、ひいては国民生活に大きな影響を与えることは明らかだ。給付か消費税減税か、あるいはそのどちらでもないのか。各党が語らない「デメリット」も、有権者は見ていく必要がある。

TBS政治部 官邸キャップ 中島哲平

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  • 軽減税率を下げるのは断腸の思いで受け入れるが、その代わりに一般税率を増税すべき!最低でも15%、理想は20%!
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