
「草刈りの一部をシルバー代行さんに頼んでるんですが、一箇所だけ草が残ってて。『なんで?』と見に行ったら、カモの卵がありました。じいちゃんたちのこういうところ、大好き」
2024年6月13日、Xユーザーのパフまりこさん(@farm1739)が投稿したコメントと2枚の写真が注目を集めています。パフまりこさんは、夫婦で栃木県那須郡の農園「稲作本店」を営みながら、米粉のバームクーヘンや地元の恵みを使ったジェラートを提供するスイーツ店「たぬき社」も手がけ、農業と菓子づくりの魅力を伝え続けています。
そんな広い敷地で米作りをする中、草刈りの一部を「シルバー代行」として活躍するシニアスタッフにお願いしているというパフまりこさん。いつも丁寧に作業をしてくれる「じいちゃんたち」ですが、この日は思いがけない場面に出くわしました。
田んぼのあぜの一角だけ、草がもっさりと残ったまま。不思議に思って近づいてみると──その草の中には、なんとカモの卵が11個。どうやらシニアスタッフさんが卵を見つけ、あえてそこだけ草を刈らずに残してくれたようです。
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この出来事をXに投稿すると、14万件超の“いいね”が寄せられる大反響に。翌朝、通知の多さに気づいたパフまりこさんは「朝起きたら、カモとじいちゃんの話にこんなにいいねが……リプ欄の優しさに、二重でほっこり。幸せな朝をありがとうございます」と感謝を綴っていました。
このあと、温かなエピソードの裏側を詳しく伺いました。
カモの卵を守った優しさに「粋だなぁ」
ーー当時の状況を教えてください。
「6月13日の出来事です。父の知り合いで、これまでにも何度か草刈りをお願いしている5人のシルバー代行さんに依頼しました。翌日、ドローンで除草作業をしていた時、田んぼの様子を見ていたら、一部だけ刈り残しのように草が盛り上がっていて。『刈り忘れちゃったのかな』と思って近づいてみたら、卵があったんです」
ーー卵を見つけたとき、どんな気持ちでしたか。
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「『うわぁ! カモの卵だぁ!』って感動しました。それと同時に、わざと残してくれたんだなって思ったら『粋だなぁ』と、思わず頬が緩みました」
ーーその後、卵はどうなりましたか?
「1度だけ様子を見に行ったら、親鳥がバサバサッと飛び立ったので、育児放棄はしていないみたいです。それ以降は家族やスタッフにも、近づかないようにと連絡しました」
ーー投稿が大きな反響を呼びましたが、どう受け止めていますか。
「まさかこんなほっこりニュースに14万いいねも頂けるとは思っていなくて、驚きました。最近、お米に関する心がざわつくニュースが続いていたので、皆さん想像以上に心温まる話を求めていたのかなとも思いました」
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ーーリプ欄には、シルバーさんだけでなく、事情を察して喜ぶ投稿者さんの優しさにも称賛が集まっていました。
「優しさを褒めてくださる方こそ、優しい心を持っているんだろうなぁと幸せでいっぱいになりました。有難い限りです」
ーー最後に、「稲作本店」「たぬき社」で大切にしている想いを教えてください。
「田んぼや里は、食べ物をつくる場所であるだけでなく、生き物のゆりかごだったり、治水や獣害防止、地域コミュニティ維持の役割があって、すごく美しいところです。その価値を未来へ繋げていけるよう、都市と農村の架け橋になって想いを伝えていきたいと思っています」
リプライには、心にしみるエピソードに多くの共感や感動の声が寄せられました。
「優しい。涙出る」
「よく気づきましたよね。優しい」
「元気に育ってくれると良いね」
「わたくしも好き。じいちゃんも、投稿の主のかたの優しさも」
「優しい思いやり〜! ヒナの姿見たいですね」
「優しいね、シルバーさん。細かいとこに目や心が届くの素敵です」
「こんな歳の取り方したいわぁ」
「日本昔話の優しいおじいさんって、たぶん、こういう人がモデルなんやろなぁ」
(まいどなニュース特約・梨木 香奈)