「お母さん、それ広告だよ」 動画広告を“スマホの通知”と勘違いする老親 犯罪に巻き込まれないために家族がすべきこと【元警察官が解説】

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2025年07月12日 07:50  まいどなニュース

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スマホ操作が苦手…この通知タップしていいの? ※画像はイメージです(buritora/stock.adobe.com)

30代の男性Aさんには、70代の母親がいます。父親は他界しており母は一人暮らし。気が向いたときに連絡を取っていますが、ある日母から「スマホでよくわからない通知が出ている」と連絡を受けました。

【写真】「未納料金があるから『1を押せ』」と電話→私「押せません…」

そこで休日に母の家を訪ね、直接話を聞くことにします。母の家に着くと、さっそく母がスマホをAさんに見せながら「動画を見ているとこの通知が出るの」と言いました。

スマホの画面を見せてもらうと、「データ容量がいっぱいのためアプリをダウンロードして削除しよう」という内容の広告が出ていました。これを見たAさんは母に「いや、お母さんこれ広告だよ」と言いますが、母は「こんな小さい字じゃ読めないわよ」と怒り出す始末。

Aさんが「広告だから無視しても問題ない」と伝えても、母はどうも納得いかない様子です。このままでは、母は知らない間に広告をタップしてしまうのではないか、さらにクレジットカード情報を盗むような詐欺にも引っかかってしまうのではないかと思い、Aさんは不安になりました。

警察庁の発表によると、令和6年で特殊詐欺に遭った65歳以上高齢者は、総認知件数の65.4%と高くなっています。そんななか、どのように気を付ければ母を詐欺などの被害から守ることができるのでしょうか。千葉県で警察官として20年以上勤め、現在はサービス業を起業して活動している笹岡健司(仮名)さんに話しを聞きました。

スマホ操作の未熟さにつけ込まれる

ー実際に、高齢者はどのようなスマホのトラブルに巻き込まれているのでしょうか?

スマホを利用した詐欺の手口は多種多様にわたります。高齢者の方が遭う被害は、事例にあるように「スマホ操作が未熟なこと」に付け込んでいる印象です。

実際にAさんの母親のケースのように「少額の投資で稼げる」「副業で高額を稼げる」といった広告から架空の投資サイトに誘導され、実際に被害に遭われた方もいます。はじめは少額ながら実際に返ってきたとしても、徐々に高額な金額の支払いを要求されるケースが多いです。

また、インターネット通販サイトを利用した「偽ショッピングサイト」の手口が多くあります。これは、ネット通販で「偽の商品」を購入させ、後に返金を求めたにも関わらず、PayPayや銀行振込などの別の支払い方法に誘導されて、多額の金額を支払わせる手法です。個人情報も流出する危険性があります。

その他、警察官を騙った詐欺が多く見られます。末尾が「0110」という、いかにも警察の代表電話のような番号から、警察官を名乗ってスマホに電話があり、「詐欺の犯人を捕まえた。あなたの口座が悪用されて参考人になっている」といった脅しをかけられ、「潔白を証明するために通帳の確認をしたい」と高額な金額を振り込むように誘導されるという手口です。

最近では、SMSに宅配業者のURLが送信され、クリックすると通帳などの情報を入力する画面に飛び、そこに情報を入力してしまった人がお金を騙し取られるケースもあります。高額当選したというダイレクトメールも、同じようなケースです。

高齢者をめぐっては、スマホ以外でも「還付金詐欺」が多く発生しているので、注意が必要です。

「自分は引っかからないだろう」という思い込みが危ない

ートラブルに巻き込まれやすい高齢者の特徴はありますか?

スマホのトラブルに起因した詐欺被害は、多くの報道でもなされていますが、「自分は引っかからないだろう」と考えている方が多い印象です。

ー高齢者がスマホでトラブルに巻き込まれないために、高齢者をはじめ、介護者・ご家族の方に向けてアドバイスをお願いします

想像している以上に、犯人は言葉巧みに被害者を不安に陥れようと、ありとあらゆる言葉を使って脅しをかけてきます。そしてスマホの知識が浅いであろう高齢者の方の弱みにつけこんで騙してくるのです。そこで高齢者の方に意識してほしいのは、次の4つです。

・詐欺師は、思ったよりも近くに潜在している
・騙されてしまったらお金は戻ってこない
・うまい話には裏がある
・詐欺の手口はあらゆる方向からあなたを狙っている

詐欺に引っかからないためには、家族同士で情報共有をしつつ、迷ったら警察に相談することが大切です。決して恥ずかしいことではありません。違和感を覚えたら、そのままにせずにすぐに相談しましょう。

(まいどなニュース特約・長澤 芳子)

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  • 中にはフェイクニュースにも踊らされてるケースもあって心配。(フェイクだと教えてあげたのは「小室眞子さん、離婚」→翌日、出産のニュース…)
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