介護施設選びに「入居お祝い金」が影響も? - 調査で浮かび上がった問題点とは

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2025年07月17日 12:41  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
LIFULL seniorが運営する「LIFULL 介護」は7月15日、「介護施設選びの実態調査」の結果を発表した。調査は2025年6月7日〜6月11日、家族や親族に介護施設の入居経験があり、その際の施設選びや決定に関与したことがある、全国の20代〜80代の男女2,500名を対象にインターネットで行われた。

○介護業界で注視される「⼊居お祝い⾦」とは



老人ホーム検索サイトなどで見られる「入居お祝い金」。これは老人ホーム検索サイトや老人ホーム紹介会社などを通じて老人ホーム等への入居が決まった際、その紹介会社から入居者本人、もしくはその家族に支払われるお金のことを指している。一般的に入居お祝い金は、紹介会社が老人ホームに対して入居者を紹介し、入居が決まったときに、老人ホームから紹介会社へ支払われるお金が充てられる。お祝い金は紹介会社の利用を促進する営業施策のひとつだが、その原資は老人ホームの運営資金と言える。



施設選びをする人にとってはメリットに感じられる一方で、業界団体からは「福祉サービスの公平性・中立性や透明性を損ね、社会保障費の不適切な費消を助長するとの誤解を与える」と指摘されている。昨今問題視されている入居希望者の介護度や医療の必要度等に応じた紹介料設定とならんで「倫理に反する行為」として問題視されている。



今回の調査では、介護業界内でも注視されている入居お祝い金について、施設探しをする人に与える影響にも注目した。

○介護施設選びで見学した施設数や検討期間


「いままでに見学した介護施設の数」については、平均見学施設数が2.8か所となった。特に、全体の80.5%が「3か所以下」の見学となり、「見学していない」と回答した人も約1割(9.3%)いた。



また、「実際に入居する介護施設を探し始めてから決定するまでの期間」については、平均期間が60.8日となった。世代別で見てみると、20代では「1週間程度」以下が33.7%、30代では26.5%と、3割近くが非常に短期間で入居する施設を決定していることがわかる。


○介護施設選びで重視したこと



「介護施設を選ぶ際にどのような点を重視したか」においては、立地や施設・費用などのハード面をわずかに抑えて、「スタッフの印象・雰囲気がよいこと」が54.8%で最多回答となった。


また、20代と70〜80代を比較したところ、「立地の良さ/家族などが通いやすいこと」が20代では30.3%なのに対して、70〜80代は59.3%と、両者には29.0%もの差があり、ギャップが最大となった。



その他、差が大きくなった項目TOP10に関しては、「キャンペーンや特典・キャッシュバックがあること」において、20代が17.6%に対して70〜80代は0.7%となっており、唯一若年層の方が重視している割合が高く、かつギャップも大きい結果となった。


○入居お祝い金による施設選びへの影響



入居お祝い金を認知しており、かつ受け取った人を対象にした「あなた(もしくはご家族)にとって、『入居お祝い金』を受け取れるかどうかは、施設の検索サイト・紹介会社を選ぶ際に、どの程度影響したか。」において、20代では「影響した」と約9割(非常に影響した:38.1%、やや影響した:49.8%)が回答した。


また、それぞれの世代における「あなた(もしくはご家族)が、実際に受け取った『入居お祝い金の金額(総額)』」については、20〜30代では約5割(20代:48.4%、30代:47.7%)、40〜50代では約4割(40代:39.1%、50代:36.2%)、60〜80代では6割超(60代:66.3%、70〜80代:62.5%)において、受け取った金額が「1万円以内」となっている。


○紹介会社から特定の施設を強く勧められた経験の有無



介護施設を探すときに検索サイトや紹介センターを利用した人を対象に、「入居金(初期費用)が高めな施設」や「すぐに入居できる空室がある施設」など、特定の施設を紹介サイトや紹介会社から強く勧められた経験があるか」については、入居お祝い金を受け取った人は72.3%、受け取っていない人は35.5%と、2倍以上の差があった。


また、紹介サイトや紹介会社の対応について気になったこと・不満点について、入居お祝い金を受け取った人に尋ねたところ、「すぐに入居できるという施設を紹介されたが、全く希望していない不便なエリアで、条件も合っていなかった」「こちらの意向をあまり聞いてもらえなかった」「施設見学の斡旋がやや強引、急かしすぎだったことが気がかりでした」「もっと安い施設でも良いのに高額で遠い施設などを強引に勧めてくることがあったのでかなり不満です」といった回答が寄せられた。

○現在入居している介護施設からの転居意向



現在介護施設に入居している家族や親族がいる人を対象にした転居意向に関する調査では、入居お祝い金を受け取った人で「転居を考えている・考えたことがある」と回答した人は78.1%で、受け取っていない人と比較すると42%高い結果となった。(Yumi's life)

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