進まぬ貿易交渉、強める圧力=期限延長、書簡で打開―トランプ氏・政権半年

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2025年07月20日 08:01  時事通信社

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時事通信社

オークランド港のコンテナ船=14日、米カリフォルニア州オークランド(EPA時事)
 【ワシントン時事】トランプ米大統領は2期目就任後、矢継ぎ早に関税措置を打ち出し、各国に市場開放や米国への生産移転を高圧的に迫ってきた。当初90日間で貿易交渉をまとめると息巻いたが、就任半年を経ても大きな進展はない。停滞にしびれを切らし、書簡による関税率通告で事態打開を図ろうとしている。

 「米国解放の日」と銘打ち、ほとんどの貿易相手国・地域に「相互関税」を課すとぶち上げた4月。各国共通の基本税率10%に続き、時間差を置いて発動した国別の上乗せ分(日本は14%)は、市場の動揺を前に半日余りで一時停止を余儀なくされた。

 今月9日までの90日間を交渉期間としたが、期限までに合意できたのは英国とベトナムのみ。自動車関税の見直しを求め続ける日本をはじめ、各国にも国益のため譲れない一線がある。交渉は思うように進まず、トランプ氏はいら立ちを強めた。

 米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによると、ベセント財務長官はトランプ氏に、インドや欧州連合(EU)などとの合意は近いものの、さらに時間が必要だと報告。上乗せ分の即時再発動を検討していたトランプ氏は「土壇場で譲歩を引き出す交渉術」として、書簡の送付に切り替えたという。

 トランプ氏は今月7日以降、新たな関税率を一方的に書簡で通知。「書簡はディール(取引)だ」と繰り返し主張し、8月1日から関税を発動するとして、日本を含む各国に市場開放を迫るなど圧力を強めている。

 トランプ氏は一方で、自国産業保護のため鉄鋼・アルミニウムへの関税を50%に引き上げたほか、現在25%の自動車関税を引き上げる可能性にも言及。銅や医薬品に追加関税を課す方針も打ち出した。税収は増え、米財務省によると、6月の関税収入は266億ドル(約4兆円)と前年同月の4倍近くに跳ね上がった。

 トランプ氏は「米国はかつてないほど復活した」と、関税政策の成果を強調する。関税引き上げによる物価への影響は、これまでのところ顕在化していないものの、米国内で企業が関税コストを転嫁せずに抱え込んでいる可能性がある。トランプ氏の自信とは裏腹に、一連の関税措置はインフレ再燃や企業収益の圧迫を招きかねない危うさもはらむ。 

このニュースに関するつぶやき

  • ビッグマックも関税で3倍に値上げすれば?大丈夫値上げしてもトランプさんだけは買ってくれるさ(+・`ω・´)キリッ
    • イイネ!10
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