「あなたの脳の回路は何型?」夫婦・親子・上司部下との“会話ストレス”を軽減するコツ

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2025年07月20日 11:10  週刊女性PRIME

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※写真はイメージです

会話していて、なんかこの人と話しているとモヤモヤする、イラッとくる……ということはありませんか?そういう人とは、脳の神経回路の使い方が違うと思ったほうがいい

 と話すのは、人工知能研究者で脳科学コメンテーターの黒川伊保子さん。

とっさに使う2種類の感性の回路

「コミュニケーションを取るときの回路の違いです。脳の縦方向の信号を優先的に使うタテ型と、横方向の信号を優先的に使うヨコ型の2種類あります。

 タテ型には男性が多いですが、女性でもバリバリ仕事をする人やリーダー気質の人はこちらのタイプ。女性はヨコ型を使うことが多いのですが、時と場合と立場によって切り替わります。親子でいうと、子ども、職場でいうと部下です」(黒川さん、以下同)

 タテ型の思考の特徴は「遠くの目標を見据え、今、何をしなければいけないかをとっさに判断する」。

 つまりゴール(成果、結論)にこだわるため、会話の主な目的は問題解決にある。そのため、ヨコ型の人に対してのダメ出しや、会話途中での「で、結論は?」といった聞き出しが増える傾向にある。

 対してヨコ型は「どうしてそうなったのか、を丹念に思い起こし、解決を導き出そうとする」。つまり重視するのは結果よりもプロセス。会話は相手との共感、理解を深めるツールなのだ。

「コミュニケーション特性をこのようにまとめると、タテ型のほうが冷たい、理性的と思われるかもしれませんが、人の話をさっさとまとめたりダメ出しをする根底には、相手の窮状をすぐに救いたい、そのために自分は何をしたらいいのかという思いやりがある。

 そこを理解しないと、夫婦関係や親子関係がギスギスしたものになります。タテ型の人がヨコ型の人に“話が長い、かったるい”、“結局、何を言いたいのかわからない”といった不満を持ちやすいのも、こうした思考回路の違いを知らないから。心のすれ違いではないことを理解できれば、対話時のストレスが軽減できるでしょう」

今も残る原始の脳の使い方

 自分は問題解決タイプのタテ型か、共感タイプのヨコ型か。そして、相手は? まずはそこを見極めることでコミュニケーションの取り方、受け止め方が変わってくるのだ。

 かつて人類は男性が遠くまで狩りに出かけ、家族に食料を運び養った。危険を察知したときにとっさにどう動くべきか、命を守るための瞬発的なトレーニングを古代から積んできたといえる。

 一方の女性は、コミュニティーの中で安全を重視しながら子どもを育み、周囲と共感しあい、知識の交換を行ってきた。平時の危機回避能力を“コミュ力”で磨いていったのだ。

 こうした名残は現在も男女の脳の神経回路の中に生き続けている、と黒川さんは分析する。

 対話のコツは、神経回路のタイプを理解すること、はわかったが、具体的にはどうすればいい?

「とてもシンプルです。相手の話は共感で受ける、自分の話は結論から始める。どんな人もこの2つを心がけるだけでいいんです。相手が提案や主張をしてきたら『いいね』『わかる』でまずは受け止めましょう。

 もし否定する場合は、『いいね。その考え。でも実現の可能性が低いかもね』と共感を示す言葉のあとに、ネガティブな意見、相談を付け加えるようにすると対話がなめらかに進みます」

ヨコ型との対話は共感して受け止める

 ストレスのない対話様式のヒントを具体的に紹介していこう。例えば、部下が愚痴などマイナスな話をしてきたとき、上司は頭に浮かんだ解決策をすぐに口にしがちだが、これはNG。

ヨコ型の場合、共感されることでストレスが減り、脳が活性化するので、解決のアドバイスをしなくても自分で折り合いをつけられることがほとんど。ですから話を聞くときは、『大変』『つらい』など相手が使用した形容詞を反復して、共感を示すことが大切なんです

 どうしても共感しづらいなら、「そうか」「そうだね」とだけ返すのもアリ。

「これは『気持ちは受け止めるけど、ことの是非は保留』とする返答。相手にもそれは伝わりますが、ヨコ型の場合、気持ちが通じただけで、対話満足度が得られます。会話の途中で、質問や感想を入れると、より相手を思いやっているという印象を与えられるのでおすすめです」

 タテ型は“ダメ出し”をしがちな点も注意。これが続けば言われた側の自己肯定感は低下して、「言っても否定されるだけ」と、対話そのものが減少していく。ただ、“ダメ出し禁止”と意識しても、つい相手に言ってしまった場合、リカバーは必要ない?

ダメ出しをすると相手の脳が緊張してしまう。謝っても記憶は消せず、取り返しがきかないのです。むしろリカバーしようと、蒸し返さないほうがいい。つい言ってしまったくらいなら、それほど気にしなくてもよいのではと私は思います。

 若い人にとっても、たまにはいい刺激になる。言ったほうは言ったほうで、反省するたびに、より言わなくなりますし、気を使いすぎてストレスをためてはコミュニケーションそのものが減ってしまいます」

 ちなみに、職場では集中力を削(そ)ぐものとして無駄話が敬遠されるものだが、近年、見直す動きもあるようだ。

「研究によって『なんでもない話』が、発想力を上げ、ヒューマンエラーを抑止することがわかってきました。ちょっとしたことを気軽に話せる安心感があると対話も生まれ、人間関係が開かれたものに。アメリカのグーグル社もこの心理的安全性をチーム構築時に重視しています」

タテ型との対話は“結論から先”を意識

 ヨコ型の人が話をするときのポイントを知っておこう。

最初に結論を言う、これに尽きます。例えば、『いつも水曜日の定例会議ですが、部長が出張で…』ではなく、『来週の定例会議は火曜日になりました』と結論から話し、その後に『部長が水曜から出張なので』と加えます

 とはいえ、説明を先にしたい場合も……。

「『ちょっと気になることがあり、まとまっていないのですが、話していいですか』などと前置きして切り出すといいでしょう。その前ふりがあれば、他の参加者の中にタテ型の人がいてもスムーズに会話を聞き始められます」

 もちろん職場だけでなく、家族や近所付き合いなどでも応用可だ。

もし夫婦や親子間で対話が通じない、と感じたときは、今日食べたランチなど、なんでもない話に切り替えることでリセットできます。対話はすれ違うもの。だからこそスキルを身につけてムダなイライラは減らしたいですね

 コミュニケーション能力が高い人は、問題解決型、共感型、いいとこ取りのハイブリッドだという。役割や場面に応じて自然に切り替えられると理想的。まずは会話内に「いいね」「わかる」「そうだね」をちりばめることから始めてみよう。

教えてくれたのは……黒川伊保子さん●人工知能研究者、脳科学コメンテーター、感性アナリスト、随筆家。AI分析の手法を用いて、世界初の語感分析法である「サブリミナル・インプレッション導出法」を開発し、マーケティングの世界に新境地を開拓した感性分析の第一人者。著書に『対話のトリセツ』(講談社)

取材・文/中西美紀

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