
「緊急です。劣悪な環境下で飼われていた仔うさぎちゃん達。
福島市のボランティアさんが保護してくれました。
新しい里親さんが決まりました。
性別不明、生後2〜3ヶ月の可愛い仔ばかりです。」
福島県白河市を拠点にペット訪問火葬を行う「ペットの旅立ち 福島店」(@wannyan_1059)がX(旧Twitter)で発信した投稿が、多くの人の関心を集めました。マルシェ会場の隅に置かれた古い木の小屋で、適切な飼育環境を失っていた子うさぎたちは、地域のボランティアの手で無事に保護されました。
マルシェの片隅で気づかれた「命のSOS」
5月下旬、福島市内のマルシェに初めて足を運んだ来場者が、劣悪な環境下で暮らすうさぎたちに気がつきました。
会場の一角には古い木製のうさぎ小屋が3つ並び、金網の内側では数羽のうさぎが身を寄せ合っていました。水を飲むペットボトルは苔だらけ、周囲には大量のフンと悪臭、飲食ブースにはハエの姿も――。
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雑草を金網越しに差し入れる子どもたちを見かけた保護主さんは、その異様な状況を見過ごせず、マルシェの実行委員に相談しましたが「責任者が不在」との返答のみでした。
保健所に通報も、改善は進まず
翌日、保護主さんは福島市保健所に状況を通報。動物愛護係が現地確認と指導に入ったものの、その後もうさぎたちの状況は大きく改善されず、暑さを避ける屋根もなく、水も十分に与えられていない状態が続きました。
「もう一度様子を見に行ったら、大人のうさぎは姿を消し、残った子うさぎたちは小屋に分けられていましたが、片方の水は空っぽ、もう片方もわずかしか残っていませんでした」と保護主さんは振り返ります。
「このままでは…」全頭を緊急保護
繰り返し保健所に連絡しながらも事態が動かない中、6月6日、ついに保護主さんは「ペットの旅立ち 福島店」の協力を得て、子うさぎたちを自ら保護する決意を固めました。
飼い主も「欲しい人がいるなら持っていっていい」と了承し、無事に8羽すべてをダンボール箱に入れて保護することに成功。「最後の1羽は捕まらず焦りましたが、ひとりだけ残すわけにはいかない、と自分で捕まえました」と保護主さんは話します。
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新しい家族のもとで幸せに
保護された子うさぎたちは、適切なケアを受けながら新しい里親さんとの出会いを待っていましたが、無事にすべての子たちに新しい家族が見つかりました。うさぎは暑さに弱く、犬や猫以上に繊細な生き物です。
「飼い主さんに悪気はなく、飼育方法を知らなかっただけだと思いますが、適正な飼育環境の大切さを改めて知ってほしい」と保護主さんは訴えます。
「命のバトン」を繋いで
今回の一件は、命を守るのは小さな「気づき」と「行動」だと教えてくれます。保護主さんは「この子たちがみんな幸せになるまで泣きません」と話していましたが、無事にすべての子たちが新しい家族に迎えられた今、その思いは現実となりました。
小さな命を救うための行動が、多くの人の善意につながった今回の出来事。どうかこれからも一羽一羽が安心できる環境で、幸せに暮らしていけますように――。
(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)
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