
PTAなどのオフィシャルな場での連絡手段としても主流になったグループLINE。ある日、PTAのイベント係のリーダーを務めていたKさん(40代・栃木県)のもとにメンバーから届いたのは、「謎のスタンプ」だけの返信でした。いったいあのスタンプは、何を意味していたのでしょうか。あなたも「解読不能なスタンプ」に困ったことはありませんか?
【漫画】ええっ、どういう意味だったの?…「謎のスタンプ」に振り回されて(全編を読む)
スタンプひとつで動き出した段取りの悲劇
PTAの連絡には、グループLINEが日常的に使われています。その日もKさんは、来月のイベント準備に関する連絡事項をいつものように投稿しました。内容には「返信不要」と記載していたものの、やはり「了解です」など一言あると安心できると感じていました。
しばらくして画面に表示されたのは、ある保護者が送ったスタンプでした。言葉は一切なく、表示されたのは、おどけた表情の動物か何かよくわからないキャラクター。Kさんは「OK!了解!」と受け取りました。
「よかった、読んでくれたのね」と安心して段取りを進めていたKさん。しかし、後日その保護者から届いたのは「内容をまだ確認していません」という衝撃のメッセージでした。
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あのスタンプは、何を伝えていたのでしょうか。
疑惑のスタンプが伝えた「何か」
そのスタンプは、やや無表情なキャラクターがゆっくりこちらを振り返り微笑むというものでした。それだけにKさんは「読んで了承した」という印象を強く受けました。
ところが実際は違ったようです。
心配になったKさんが、家族や知人にスタンプの意味をたずねてみると、ある人は「あのスタンプは『いま手が離せないけど、既読したよ』という意味」だと言い、また別の人は「既読スルーが感じ悪いから、とりあえず何かスタンプを押しただけ」だと話しました。中には、「深く考えず、なんとなく気分で押しただけ」という声もありました。
スタンプは言葉を持たない分、その意図は送り手にしかわかりません。受け手は、イラストに含まれる空気感や、自分との関係性、過去のやりとりをもとに、毎回「これは了解なのか? それとも未読のままの礼儀なのか?」と頭をひねることになります。その行為は、思った以上にエネルギーを使うものです。
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絵文字の温度差に振り回される日々
LINEスタンプだけでなく、絵文字の使い方もまた感情の読み取りゲームを引き起こします。たとえば、同じ「OK」でも、その後にピースマークがつくとフレンドリーな軽やかさが感じられ、「OK」の後に女性が手で大きな〇を作る絵文字がつくと、多少のお付き合い感や義務感のような空気が漂います。
また「はい」の後に笑顔マークをつけるか、苦笑いマークをつけるかでも、受け取る印象は大きく異なります。
笑顔マークは素直な好意や理解の印象を与えますが、苦笑いマークがつくと、急に困り笑いや渋々感が強くなり、「本当は納得していないのでは」と相手が気にしてしまうこともあります。
本来は文面だけでは伝えにくいニュアンスを補うためのツールが、いつの間にか「誤解の火種」になっているのかもしれません。
便利なはずのLINEが、なぜこんなにも疲れるのか
LINEはもともと、短いメッセージで手軽に連絡が取れるツールとして多くの人に支持されてきました。PTAのような多人数でのやり取りには、まさにうってつけの方法です。
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しかし、スタンプや絵文字の登場によって、感情の見えにくい会話が加速し、今では「ひとつの絵に込められた意味」を必死に読み解く心理戦の舞台となってしまったのかもしれません。結局のところ、大事なのは気遣いのある一言なのかもしれません。
◇ ◇
みなさんはラインスタンプで、モヤモヤしたことありますか?
▼東京都・40代
ハイテンションなスタンプをやたらと送ってくる人。受診したと同時に画面いっぱいに表示されたり、静かな場所で開いたら、音声付きのものだったり。いつも困ります。静かにオッケーとか既読付けるだけでいいのに。
▼神奈川県・30代
職場の上司や同僚など異性とのやりとりで、ハートマークはさすがに送りませんが、それっぽいものも多いので送るときに躊躇します。というのも、前に軽い気持ちで可愛いスタンプを送ったら好意があると勘違いされてしまいました。結局いつもお辞儀するスタンプばかり使っています。
▼福島県・30代
面白いスタンプや無料のものを使っていたら友達から「スタンプのセンスがやばい」と言われました。冗談が通じる相手にしか送りませんが、その場にいた別の人からも「やばい人」と思われてしまったそうで、それ以来結構気を使ってます。
(まいどなニュース特約・松波 穂乃圭)
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