2025年7月24日、山手線で燃えたモバイルバッテリーが「cheero Flat 10000mAh」であったことが判明した。本誌(ITmedia Mobile)以外にも多くの報道機関が報じており、Xでもさまざまな投稿が飛び交っている。事故発生直後の出来事から事故原因の特定に至るまでの経緯を時系列でお伝えする。
●2025年7月20日:モバイルバッテリー発火事故発生、リコール製品への関心高まる
発端となったのは、2025年7月20日に発生したJR山手線車内でのモバイルバッテリー発火事故。この事故を受け、X(旧Twitter)ではさまざまな情報が飛び交い、特に発火原因に注目が集まった。
NHKなど一部メディアは、発火元がリコール対象製品であったことを報じた。報道内容とリコール対象製品の情報を照合したところ、販売期間やリコール対象台数の数字が一致した。このことから、X上では発火した製品がcheero Flat 10000mAh(CHE-112)ではないか? との推測が広がったのだ。この製品は2019年12月から2021年8月にかけて3万9300台が販売されており、これまでに16件の燃える事故が発生し、販売元のティ・アール・エイがリコールを進めている。
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●7月22日22時頃:ティ・アール・エイが「当該製品の回収を引き続き行っている」と再告知
山手線発火事故の報道を受け、モバイルバッテリーなどを販売するティ・アール・エイは7月22日22時頃、Xで「cheero Flat 10000mAhの回収を引き続き行っている」と改めて告知した。
ITmedia Mobileでは、同社による再告知がどのような背景や意図によるものか尋ねたところ、そのXの投稿は2024年5月に一度投稿したものだったという回答を得た。今回の山手線での事故発生を受け、「弊社製品がリコール対象製品ではないかとのご指摘があり、リコール対象商品であることをお伝えするべく、改めて投稿いたしました」と説明した。
●7月24日13時過ぎ:「現時点では、当該製品との関連性についての詳細は確認されておりません」と回答
同社は24日13時過ぎの時点において、「現時点では、当該製品との関連性についての詳細は確認されておりません」と回答した。一部報道やSNSで自社製品が指摘されていることは認識しており、事実関係が明らかになり次第、公式サイトやニュースリリースで報告すると明言した。
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cheero Flat 10000mAhのリコール理由は、モバイルバッテリーの充電中に発火した事故によるものだが、NHKなどのテレビ報道にあるようにスマートフォンへの給電中に発火する可能性はあるのか、という問いに対し、ティ・アール・エイは「給電中でも発火する可能性はございます」とした。
●7月24日14時30分頃:新宿消防署で燃えたモバイルバッテリーの現物を確認した結果公表
しかし、同日14時30分頃には状況は一変する。新宿消防署で燃えたモバイルバッテリーの現物を確認した結果、それがティ・アール・エイのcheero Flat 10000mAhであることが確認されたのだ。
●7月24日17時50分頃:現物確認の結果をXで文書公開 今後の対応を説明
ティ・アール・エイは同日17時50分頃、現物確認の結果をXで文書公開し、「この度は、お客さまならびに関係者の皆さまに多大なるご心配とご迷惑をおかけしておりますことを、心より深くお詫び申し上げます」と謝罪した。今後は、消防や関係機関と協力して事故原因を調査し、再発防止に努めるとしている。
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また、今後は「これまで以上に製品の管理や品質のチェックを厳しくし、より安全で信頼できる製品を作ることを目指していく」と表明した。
なお、cheero Flat 10000mAhは、従来の製造委託先とは異なる特定の工場で製造された製品だという。ティ・アール・エイが販売する他のモバイルバッテリーは、この工場とは別の場所で製造されており、「今回の発火事故は、cheero Flat 10000mAhを製造した工場だけで起きたことだ」と説明している。その上で、「他の製品では同じような問題は起きておらず、安全性にも問題がないことを確認している」と強調している。
【更新:7月24日19時25分】取材時に得た回答の追記を行いました。
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