“まるで獲物を狙う”あおり運転してきた運転手が顔面蒼白。事故を起こして警察に捕まるまで

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2025年07月25日 09:10  日刊SPA!

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※写真はイメージです(画像生成にAIを利用しています)
 ニュースなどで頻繁に取り上げられる「あおり運転」。被害者の精神的苦痛は深刻であり、トラウマにもなりかねない。
 自動車損害保険を扱うチューリッヒ保険の『2025年あおり運転実態調査』によれば、5年以内にあおり運転をされたことがあるドライバーは34.5%であった。また、遭遇したあおり運転は、「後方から激しく接近された」が最多の84.3%。あおり運転された際の対処方法は、「道を譲った(51.1%)」、「何もしなかった(28.8%)」が上位を占め、あおり運転に遭遇しても、冷静に対応するドライバーが目立つことがわかった。

 今回は、“あおり運転”を繰り返していた運転手が、相手によって態度を一変させた2人のエピソードを紹介する。

◆逃げても追ってくるヴェルファイア

 高井直樹さん(仮名・40代)は、妻との静岡旅行を終え、東名高速道路を走っていた。

「帰り道も順調で、助手席の妻が『また行きたいね』なんて話していたんです」

 サービスエリアが近づいたそのとき、突然、黒いヴェルファイアが猛スピードで後ろに迫ってきたという。車間距離はほとんどゼロ。その巨体がピタリと後ろにつけ、威圧感は限界を超えていた。

「もう圧がすごくて……。激しいパッシングに背筋が凍りました」

 高井さんは、何度か車線を変えて逃れようとしたのだが、ヴェルファイアは“まるで獲物を狙うように”つきまとってきた。

「本当に怖くて、このままじゃ事故になると思ったんです。とっさにサービスエリアに逃げ込むことにしました」

 しかし、恐怖は終わらなかったという。

「広い駐車場に向かったら、ヴェルファイアまで入ってきたんです。しかもスピードを落とさずに、まだ私を追ってくる感じでパニック状態でした」

◆強面に囲まれた瞬間、黙った運転手

 動揺するあまり、高井さんは誤って“大型車専用の出入口”へ侵入してしまった。そこで、たまたま出発しようとしていたデコトラと鉢合わせになったそうだ。

 大きなクラクションが鳴り響いた。その直後、ヴェルファイアがそのままデコトラの前方側面に激突したのだ。

「“ガシャーン”って、大きな音がして……。多分、私を見ていてトラックに気づかなかったんでしょうね」

 慌てて車を止めて駆け寄った高井さんは、デコトラの運転手にこう声をかけられた。

「おいおい、危ねぇな! 後ろの車、あんたを追っかけてたのか? そりゃ、災難だったな」

 事情を説明すると、運転手はすぐに状況を理解し、やがて3〜4人のデコトラ仲間が集まった。そして、ヴェルファイアを取り囲んだという。

「みんなすごい貫禄で、腕っぷしも太いし、圧がすごかったですね」

 ヴェルファイアの運転手は顔面蒼白でうつむいていたのだとか。

「完全に委縮してて、“ざまあみろ”って心の中で思ってました」

 その後、デコトラの運転手が警察を呼び、ドライブレコーダーの映像も提出。あおり運転について警察から厳重注意を受けていたという。

「まさに因果応報ってこういうことなんだなって思いました。デコトラのみなさんには感謝しかありません」

◆家族を乗せた車に迫る恐怖

 家族とともに外出していた岡島雅人さん(仮名・40代)。ガソリンスタンドで給油を終え、道路に出ようとしていた。

「そのとき、後ろから来る軽自動車があおられているのが見えたんです。急接近に蛇行運転、明らかに悪質でした」

 まるで狙い撃ちするかのような運転に、不穏な空気が漂っていたという。しばらく走ると、軽自動車は道を譲り、その“あおり運転”は減速しながら、ゆっくりと追い越していった。

 ちょうど岡島さんの車が道路に出たタイミングだったので、後ろに“その車”がきてしまい、嫌な予感がしたという。

「案の定、次は私がターゲットになりました。ミラー越しでも、異常な距離の近さでした」

 すると、後部座席の子どもが、「お父さん、あの車怖い……」とつぶやいた。岡島さんの子どもには頸椎に障害があり、追突などの衝撃は絶対に避けなければならなかった。

「ハンドルを握る手に思わず力が入りました。ほんの数分だったけど、時間がすごく長く感じました」

 悔しさはあったが、やむなく道路脇に車を寄せた。

「なんでこんなヤツに道を譲らなあかんの?」と子どもが言ったとき、岡島さんも同じ気持ちだったという。通過していった運転手は、勝ち誇ったような笑みを浮かべていた。

◆現れた“別の車”に沈黙する運転手

 道を譲った後も、子どもの怒りは収まらなかったようで……。

「お父さんもやり返してよ!」

 岡島さんは冷静に考え、「俺も腹立つけど、やり返したら、あのアホと同じレベルになるからイヤや」と答えた。すると、子どもが思わぬ提案をしてきたという。

「スマホで撮影するから、追いかけて!」

 岡島さんも、思わず衝動的に車を加速させた。しかしその直後、思いがけない展開が訪れる。

「前からイカついフルスモークの車が入ってきて、あおっていた車の前に割り込んだんです」

 その瞬間、“あおり運転”は急に大人しくなったのだとか。

「それを見て、子どもが笑ったんですよ。『なんや、あいつ弱いもんいじめしてただけの、ただの弱虫やん。強そうな車がきたらなにもできへんやん。だっさー』って……。その言葉に、私もようやく肩の力が抜けました」

 追いかけるのをやめて、岡島さんたちは無事に帰路についた。

<取材・文/chimi86>

【chimi86】
2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。

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