厳しい条件下での試合開催が問題となったクラブW杯 [写真]=Getty Images プロサッカー選手の国際的な労働組合であるFIFProが、国際サッカー連盟(FIFA)を強く非難する声明を発表した。
近年、過密日程がサッカー界の大きな問題となっている。現場からは解決を望む声が多く上がるが、FIFAや欧州サッカー連盟(UEFA)は解決を図るばかりか、大会フォーマットの変更や大会自体の新規創設など、金銭面での成功を優先。選手たちがこなす試合の数は増加の一途をたどっている。
今夏には32チームが参加した新方式のFIFAクラブワールドカップ2025が行われ、FIFAのジャンニ・インファンティーノ会長は「1試合平均では3300万ドル(約49億円)の収益となった。他には存在しない。これはすでにあらゆる尺度で見て、世界で最も成功しているクラブ対抗戦ということだ」と鼻高々の様子だった。しかし、炎天下のアメリカで真昼間のキックオフ、1カ月にわたる長期開催で参加選手のオフが十分に確保されないなど、選手のコンディションを無視した運営には多方面から批判の声が届いた。
そんななか、FIFProは25日にオランダ・アムステルダムで世界58カ国の選手組合が参加する会合を開き、FIFAが現在行っている運営方法について深い懸念を表明した。
FIFProは声明を発表し、「過密な試合日程、十分な肉体的・精神的回復期間の欠如、極端なプレー条件、有意義な対話の不在、そして選手の社会的権利の継続的無視は、遺憾ながらFIFAのビジネスモデルの柱となっている。国際的な労働組合として、FIFPROは、サッカーに埋め込まれた構造的不平等と制度的虐待にまず取り組むことなしに、サッカーの『新時代』はあり得ないと確信している。過労、排除、搾取の上に成り立つ正当な見世物などありえない」と強くFIFAを非難した。
「FIFAは、世界各地で選手たちが直面している現実的な問題を組織的に無視し、黙殺し続けている。世界的なリーダーシップを主張する組織が、選手たちの基本的なニーズを見て見ぬふりをすることは容認できない。この断絶の明確な例のひとつが、先日のクラブワールドカップである。インファンティーノ会長は、いかなる人間にとっても極端で不適切な状況下で開催されたにもかかわらず、これを祝福した」
「同様に、FIFAが最近発表した次回のワールドカップのチケット販売枚数は600万枚になる見込みだというが、これもまた商業的な指標のみに焦点を当て、世界のサッカーの多くを定義している構造的な苦難を無視している。FIFAはアフリカでの選手の収入を知っているのだろうか? 世界の多くの地域で、給料が何週間も支払われないことがよくあることをFIFAは知っているのだろうか?」
「FIFPROは、サッカー競技の経済成長や商業的発展に反対しているわけではない。そのような成長は、才能と努力によってサッカーを可能にしている人々、すなわち選手に対する公正さ、敬意、説明責任の原則に根ざしたものでなければならないと考えている」
「FIFPROとその加盟72組合は、世界中のサッカー選手の労働権、社会権、人権を擁護するという揺るぎない決意を、これまで以上に再確認する。私たちは虐待に反対し、すべての選手のために公正で尊厳のある持続可能な条件を求め続ける。サッカー界に必要なのは、皇帝ではなく、責任あるリーダーシップだ。独裁的な独白を減らし、より純粋で、包括的で、透明性のある対話が必要なのだ。