防衛省=2024年4月、東京都新宿区 陸上自衛隊饗庭野演習場(滋賀県高島市)で2月、実弾射撃訓練中に砲弾1発が行方不明となった事故で、陸自は26日、隊員の勘違いや確認不足などにより、通常の2倍の火薬を挿入したことが原因とする調査結果を公表した。陸自は同日、県と市に経緯と再発防止策を説明し、謝罪した。
事故は2月3日に発生。日本原駐屯地(岡山県奈義町)の部隊が同演習場で訓練中、155ミリりゅう弾砲1発が約4キロ先の的周辺に着弾せず、行方不明となった。陸自が演習場内の地中で発見された金属片を分析した結果、今月11日に不明弾の一部と特定された。
調査結果によると、訓練で火薬の準備係の隊員は、火薬を挿入係の隊員に渡した後は何も持たずにしゃがむ手順だったが、実際には次の発射に備えて新たな火薬を持ち、立っていた。このため挿入係は火薬を挿入していたのにしていないと思い込み、砲身内を確認せずに二つ目の火薬を挿入した。
現場を指揮する砲班長は2人の動作を確認せずに射撃を命令。火薬の量が2倍になったことで、砲弾は的からさらに約2キロ先に着弾したとみられる。隊員らの動きをチェックする安全係もミスを見落としていた。
陸自は砲弾と火薬の配置を見直すなどの再発防止策を取り、近く関係者らの懲戒処分を行う方針。