「海外で儲かる仕事」は“闇バイト”の可能性が!?一度手を染めたら抜け出せない闇バイトの実態を専門家が解説

0

2025年07月28日 06:20  TOKYO FM +

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

TOKYO FM +

「海外で儲かる仕事」は“闇バイト”の可能性が!?一度手を染めたら抜け出せない闇バイトの実態を専門家が解説
杉浦太陽と村上佳菜子がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより」(毎週日曜 7:30〜7:55)。「学びと成長」をコンセプトに、毎回さまざまなゲスト講師をお招きして、明日の暮らしがもっと豊かになる情報や気になるトピックをひも解いて、今よりもちょっと成長することを目指す番組です。

7月27日(日)の放送テーマは、「海外で儲かる!? 甘い誘いは闇バイト」。警察庁 生活安全企画課の田矢広樹(たや・ひろき)さんから、海外で詐欺をさせられる闇バイトの実態や、闇バイトの見分け方などを伺いました。


(左から)杉浦太陽、田矢広樹さん、村上佳菜子



◆「海外で儲かる仕事」は危険

近年「海外で稼げるアルバイトがある」と甘い言葉に誘われ、危険な犯罪に巻き込まれる若者が後を絶ちません。特にインターネットを通じて知り合った人物から仕事を紹介されて現地に行った結果、詐欺行為を強要されたケースが相次いで報告されています。

犯罪グループは「海外で儲かる仕事」と魅力的な言葉で興味をひき、場合によっては、パスポートを作る費用や航空券まで応募者へ送るなど、費用を負担してまで海外におびき寄せます。「実際に海外へ渡航してしまうと、海外で犯罪に加担することを強制させられてしまいます。当然、報酬も支払われず言葉も通じない見知らぬ土地で脅迫・監禁され、家族や警察に助けを求めることすらできなくなってしまう恐れがあります」と田矢さん。海外では、日本の警察が直接介入することはできず、助けを求めることすら困難になります。

警察の統計によると、実際に犯罪に加担させられたケース、あるいは未遂に終わったケースを含めて、統計開始から今年5月末までの約7ヵ月間で23件が報告されています。これは警察が把握している数にすぎず、実態はさらに多いと見られています。

若者がこうした闇バイトに巻き込まれる背景には、「海外で儲かる仕事」という甘い言葉があります。10〜20代の若者にとっては“ちょっと面白そう”“刺激的かも”と感じてしまう言葉かもしれません。しかし、現地の情報をほとんど知らずに言葉も話せない状況で、本当に稼げる仕事があるのでしょうか? あなたの軽はずみな選択が、その後の人生に大きな影響を及ぼす可能性があります。

田矢さんは「すべての闇バイトに通じることですが、犯罪グループにとって応募者は“捨て駒”にすぎません。最初は簡単な案件を紹介されて報酬が支払われたとしても、それは応募者を信用させるための“エサ”で、その後は強盗や詐欺など、より凶悪な犯罪に加担させられるようになります」と話します。

また、闇バイトは“嫌になったら辞めればいい”という軽い気持ちで辞められるものではありません。「はじめに連絡をとったときに個人情報を教えてしまっている場合が多いため、仕事を断れば、個人情報をもとに執拗に脅迫されます。犯罪者グループは応募者に恐怖心を与えて離脱を阻止し、応募者が警察に逮捕されるまで利用し続けます」と説明。場合によっては、その脅迫が家族にまで及ぶケースもあります。一度でも従ってしまったら、もう抜け出すことはできません。

◆犯罪に加担してしまったら…

これまでにも多くのメディアで闇バイトの危険性が紹介されていますが、それでもなお、若者が応募してしまうのはなぜでしょうか? 田矢さんは「最初から犯罪行為であることを知りつつも加担する者」と「犯罪行為の認識が薄い、もしくは、その認識がないまま加担する者」の大きく2パターンあると言います。そして、双方に共通するのは、結果として「犯罪行為に加担したことを後悔している」という点です。

たとえ誰かに指示されたとしても犯罪に加担した場合、逮捕され刑罰が科せられる可能性があります。「かけ子(被害者に電話をかける役)として嘘の話でお金を準備するよう相手を騙すことは“騙しただけ”ではなく犯罪となります。同様に、“銀行口座を開設して売り渡しただけ”“スマホを契約して売り渡しただけ”という行為も犯罪です。検挙され刑罰を科せられた場合、これまでの日常生活は一変します」と解説します。

また、闇バイトに応募して犯罪に加担し、結果的に検挙された者のなかには少年もいます。そんな少年たちの大半は「遊ぶためのお金がほしかった」「1回だけなら大丈夫」「嫌になったら辞めればいい」といった安易な考えで応募してしまい、取り返しのつかない結果を招いています。

◆闇バイトで困ったときは「#9110」

闇バイトの募集は、2つの大きな特徴があります。1つ目は「高額」「即日即金」「ホワイト案件」「楽で簡単、高収入」といった言葉。これらは誰でも簡単にできる仕事で、高額な報酬がすぐに得られるかのように見せる表現です。ただ最近は、こうした言葉を避けている手口も登場しています。

2つ目に、連絡手段として「シグナル」や「テレグラム」といった秘匿性の高い通信アプリの使用を求めてきた場合は闇バイトを疑いましょう。「犯罪者グループは人を騙すプロですから、『個人情報が漏れないように秘匿性の高いアプリを使用している』など、もっともらしいことを言ってくるかもしれません。しかし、どう言われたとしても、シグナルやテレグラムなどに誘導されたり、個人情報を送信するように言われたら(闇バイトを)疑ってください」と声を大にします。

わりのいいバイト募集を見つけたら、雇い主となる企業の住所や電話番号の記載の有無などを調べましょう。そして、このような記載がなければ闇バイトを疑ってください。さらに重要なのは、それを“1人で判断しない”ということです。友人や家族など身近な存在に「こういう仕事があるんだけど、どう思う?」と客観的な意見を求めることで、危険を回避する確率は上がります。

それでも、闇バイトだと気付かず個人情報を渡してしまった場合、勇気を持って警察相談専用電話「#9110」に連絡してください。実際に海外在住の知人から誘われて個人情報を伝えてしまった人が、渡航前に警察に相談したことで思いとどまったケースがあります。

警察に相談するのはハードルが高いと感じるかもしれません。しかし、渡航後では日本の警察は手が出せなくなります。事前の相談が、あなた自身や家族を守る唯一の手段になることもあります。

また「知人からの紹介だから」と油断してはいけません。相場に見合わない高額報酬を提示されたら、その時点で立ち止まることが重要です。家族や友人がそうしたバイトに興味を持っていたら、「よく調べてみた?」などと声をかけてあげることも大切です。

最後に田矢さんは「夏休みなどのタイミングで見かける『海外で儲かる仕事』というフレーズは魅力的に聞こえるかもしれませんが、世の中はそんなに甘くありません。闇バイトはアルバイトではなく、れっきとした“犯罪”です。興味本位で安易に応募せず、もしものときは警察や家族、友人など信頼できる複数の人に相談してください」と呼びかけました。

番組のエンディングでは、杉浦と村上が今回学んだ「海外で詐欺をさせられる“闇バイト”」について復習。2人が特に注目した点をピックアップして発表します。村上は“簡単にお金が手に入る仕事なんてありません!!”と改めて注意喚起します。続けて杉浦は“ダメ 闇バイト!「#9110」に相談を”とスケッチブックに書き、「闇バイトに関することなど、警察に相談したいことがある方は、一刻も早く警察相談専用電話『#9110』に電話してください!」とコメントしました。


(左から)杉浦太陽、村上佳菜子



----------------------------------------------------
この日の放送をradikoタイムフリーで聴く
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。
----------------------------------------------------

<番組概要>
番組名:杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより
放送日時:毎週日曜 7:30〜7:55
パーソナリティ:杉浦太陽、村上佳菜子
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/manabiyori/
番組公式X:@manabiyori_tfm

動画・画像が表示されない場合はこちら

    前日のランキングへ

    ニュース設定