
飼育放棄された柴犬「コタロー(虎太郎)」くんが、保護から2カ月で少しずつ人に心を開き始めている――そんな投稿がInstagramやTikTokに寄せられ、大きな反響を呼んでいる。
投稿主の「ベリーとバニラ&テンとチョコ★秋田のたいが」さん(@very_choco_vanilla_ten_taiga)によると、コタローくんが発見されたのは、近所を訪問していた知人の「人が住んでいない家の車庫に犬だけがつながれ、ふん尿だらけで毛もズタボロ」という一報がきっかけだった。
車庫につながれふん尿まみれの犬を発見
いとこから連絡を受けた投稿主が翌日現場を訪れると、そこには長年つなぎっぱなしにされていた柴犬の姿があった。何度呼びかけても振り返るだけの姿に絶句し、涙を流したという。近所の住民によると、飼い主はすでに家を出ており、散歩に行く姿は見たことがない。残された犬の命は、1日2回訪れる餌やりの人だけに支えられていた。
飼い主の姿消え、餌やりだけが命綱に
飼い主は、引っ越し後も糞尿の苦情を受けて何度か戻っては片付けるだけで、散歩や首輪交換などの世話はなかったという。保護後の健康診断では、蚊に刺されることで感染するフィラリア症が進行し、すでに心臓に成虫が到達していたことが分かった。
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なでる時間を積み重ねることで、なでられる喜びを覚え、かむ回数は徐々に減っていった。今では、お散歩の時間を楽しみにするほどに変わった。
室内に踏み出す小さな一歩と「膝裏カプリ事件」
真夏の暑さを避けるため、少しずつ玄関の中に入る練習もしている。ただ、車庫につながれていた記憶がよみがえるのか、室内に入ると不安な表情を見せることも多い。そんな中で起きたのが、「膝裏カプリ事件」だ。自分の気持ちを分かってほしいと甘がみをしてしまい、少し出血はしたものの、本気がみで大けがだった過去を思えば大きな成長だという。
「犬を迎える責任」を忘れないで
コタローくんは現在、投稿主のいとこ家族が里親となり、毎日愛情を注がれて暮らしている。「これからの時間をとにかく楽しく過ごしてほしい。人を信じることを諦めないでいてくれたコタローに感謝です」と投稿主は話す。
最後に、動物を飼う全ての人に向けて、こう呼びかけた。
「生き物を迎えるなら最後まで責任を持って命を育ててほしい。どうか安易に飼わないでほしい」
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かつてふん尿まみれの車庫でつながれていた小さな命が、今は人と笑顔を交わすまでに変わった――コタローくんの姿は、私たちに「命を迎える覚悟」を問いかけている。
(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)