「健康そのもの」に見える人が突然倒れる理由……健康診断では見えない不調とリスクの前兆とは

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2025年08月06日 20:50  All About

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【医師が解説】「健康優良」に見えるビジネスパーソンが、ある日突然倒れることがあります。健康診断はA判定、喫煙習慣なし、BMIも正常でも、静かに進行する不調があるのです。救急医として見てきた実例から、「大丈夫」の影に潜むリスクと、前兆に気づくポイントをお伝えします。
「昨日まで普通に働いていたのに、今朝倒れて……」
そんな話、どこかで聞いたことはありませんか?

健康診断でも特に異常はなく、残業もこなし、周囲からも「タフだなあ」と言われていた同僚。そんな人がある日突然、病院に運ばれる。驚きとともに、どこか他人事ではない気がする……。

これは、私が救急医として働いていた頃に何度も見た光景です。そしてパーソナルドクターとして予防医療に携わるなかで、症状が出る前の“気づき”と“行動”の重要性を日々実感しています。

「倒れる直前まで元気に見えていた人」の話から、「不調は静かに進行する」ということのリアルに迫ってみたいと思います。

「健康診断A判定」でも安心できない理由……安心感の裏で進行していたリスク

40代男性・Aさんは、大手企業の管理職。健康診断は毎年欠かさず受け、「A」か「B」判定ばかり。喫煙習慣もなく、BMIも標準。いわゆる「健康意識は高いタイプ」でした。

ある日、朝起きてスーツに腕を通そうとした瞬間、右腕に力が入らない。うまく言葉も出ない——救急車で運ばれ、「ラクナ梗塞」と診断されました。ラクナ梗塞とは、脳の深部の小さな動脈が詰まることで起きる、典型的な生活習慣病型の脳梗塞です。

「そんな兆候、これまで一度も言われたことがなかったのに…」

これは決して、珍しい話ではありません。私たちの体は、静かに、しかし確実に変化していくのです。

ストレスと生活習慣……小さな異変で、静かに進行する“予備軍”

健康診断では「異常なし」とされていても、実際には高リスク状態であるケースは少なくありません。Aさんの生活は、典型的な“頑張りすぎているビジネスパーソン”のものでした。

・睡眠は5〜6時間程度。出張や深夜帰宅も多い
・食事は外食が中心。昼食は早食い、夜は会食
・休日は疲れを癒すだけで、運動の習慣なし

Aさんは、「頭が重い」「肩がこる」「朝起きづらい」といった症状を「年齢のせい」と放置していましたが、こうした“軽視されがちなサイン”こそが、実は大きなリスクの前兆です。

健康診断でA判定が出ているからといって、全てが安心というわけではありません。「検査で異常なし=健康」、というのは誤解です。多くの人が「まだ大丈夫」と思いたくなる小さな症状こそが、最初の警告なのです。

「自分は大丈夫」が「まさか自分が」へ……認知のズレが招く“突然の病気”

救急搬送されてくる多くの方々が共通して口にされるのが、「まさか自分が」という言葉です。人は明らかな症状がないと、自分は健康だと錯覚してしまいます。この“認知のズレ”が、突然の病気の発症につながる原因なのです。

現実には、高血圧も、糖尿病も、脂質異常症も、症状がないまま進行し、ある日突然、発症します。しかも30〜40代は、体力的には無理がきく年代です。だからこそ、気づかぬうちに無理を重ね、“不調を日常化”してしまうのです。

「今は大丈夫」と言えるうちが、最大のチャンス。健康は、“何もないうちに守る”ことしかできません。そして一度発症してしまえば、リセットはできません。だからこそ、「元気な今こそが、最も重要な分岐点」なのです。

あなたの“なんとなく気になる不調”——それは、体からの静かなサインかもしれません。「何も起きていない」と思っている今こそ、自分の体と向き合う時間を持ってみてください。

中田 航太郎プロフィール

予防医療専門家として活動する起業家医師。「後悔のない人生」をモットーに、戦略的な健康経営と個別化された予防医療サービス『Wellness』を提供。様々な媒体で幅広く情報を発信をしながら、人々が自分らしく生きるための健康をサポートしている。
(文:中田 航太郎(医師・起業家))

このニュースに関するつぶやき

  • 一般的な健康診断だけだと正確な数値が出ないので、あまりあてにならないですからね。人間ドックのような精密検査をやらないとはっきり症状が出ないかもしれません。
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