高校生息子の通学定期で、母「数百円の電車賃が浮いた!」 バレるかも…と不安に、その場合はどうなるの?【弁護士が解説】

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2025年09月02日 07:00  まいどなニュース

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息子の通学定期でお買い物…これって犯罪? ※画像はイメージです(naka/stock.adobe.com)

パート主婦のAさんは、高校生の息子が夏休みに入り、机の上に置かれている通学用のIC定期券を気にしていました。普段は節約のために1円でも安いスーパーを探し回るAさんにとって、使われていない定期券を見て「もったいない」という気持ちを抱いていたのです。

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そんなある日、Aさんは隣町の大型ショッピングセンターで開催されるセールに行くことを思い立ちます。息子の定期券をそっと手に取り、最寄り駅の自動改札にタッチすると、軽やかな電子音と共にゲートが開きました。片道数百円の電車賃が浮いたという小さな事実に、Aさんは少しだけ心が弾むのを感じました。

最初は隣町への買い物だけだったのが、いつしか近所のスーパーへ行くのにも使うようになり、定期券はAさんの財布の定位置に収まるようになったのです。しかし、何度も使用しているうちにAさんは罪悪感にかられるようになりました。

駅員と目が合うたびに、「呼び止められるのでは」と不安になります。もし、不正がバレた場合にはどのような罰がくだされるのか気が気でなりません。Aさんのように家族の定期券を本人の代わりに使う行為は、法的にどうなるのでしょうか。まこと法律事務所の北村真一さんに聞きました。

有罪!高額な金額を請求される場合も

ー記名本人以外の者が定期券を使用する行為は、どのような法律や規則に違反しますか

記名本人以外の者が定期券を使用する行為は、各鉄道会社が定める「旅客営業規則」に違反します。記名式の定期券は、券面に記載された本人に限り利用できると定められており、たとえ家族間であっても貸し借りすることは認められていません。

また、単なる規則違反にとどまらず、法律に抵触する可能性もあります。具体的には、正規の運賃を支払わずに乗車する行為として「鉄道営業法」違反にあたるおそれがあります。

さらに、鉄道会社を欺いて不正に運送サービスという財産上の利益を得る行為として、「詐欺罪(刑法第246条)」に問われる可能性も否定できません。また、不正乗車を目的として駅構内に立ち入ることは「建造物侵入罪」にあたる可能性も考えられます。

ー不正乗車が発覚した場合、どのようなペナルティが科せられますか?

不正乗車が発覚した場合、非常に重いペナルティが科せられます。

まず、不正に使用された定期券は、その場で無効となり回収されます。そのため、本来の所有者も定期券を使えなくなってしまいます。また、旅客営業規則に基づき、正規の運賃に加え、ペナルティとしての「増運賃」が請求されます。

この金額は非常に高額になるケースがあります。例えばJR東日本では、「定期券の使用開始日から不正が発覚した日まで、毎日1往復分の運賃」に、さらにその2倍の増運賃を加えた、合計3倍の金額を請求する規定になっています。

仮に、片道1,000円区間の定期券で、使用開始から90日後に発覚した場合の金額は以下のとおりです。

1,000円×2(往復)×90日×3倍=54万円

悪質なケースと判断された場合は、鉄道会社が警察に被害届を提出し、詐欺罪などで刑事事件に発展する場合もありえます。バレないから大丈夫だろうと安易に考えずに、正規の料金を支払って利用するようにしてください。

◆北村真一(きたむら・しんいち)弁護士
「きたべん」の愛称で大阪府茨木市で知らない人がいないという声もあがる大人気ローカル弁護士。猫探しからM&Aまで幅広く取り扱う。

(まいどなニュース特約・長澤 芳子)

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  • 通学定期は例え本人でも通学証明書持たずに乗ると違反だからね? →⁠_⁠→
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